『原爆で死んだ級友たち』亡き著者の願いに広島の高校生18名が感想を寄せる

『原爆で死んだ級友たち』感想を寄せられる

 関千枝子『広島第二県女二年西組――原爆で死んだ級友たち』(ちくま文庫/1998年刊)に寄せられたノートルダム清心中・高等学校の高校生18名からの感想が発表された。

 『広島第二県女二年西組――原爆で死んだ級友たち』は原爆で全滅したクラス全員の死までの足どりとさいごの姿を求めて過ごした、8月6日から15日までを再現した1冊。1945年8月6日、腹痛で勤労動員を欠席し死をまぬがれた著者(当時13歳)が、40年の後、一人ひとりの遺族や関係者を訪ね歩き、突然に逝ったクラス全員それぞれの足跡をたどりながら彼女らの生を鮮やかに切り取った記録となっている。

 著者の関千枝子は「たまたま生き残った」という罪悪感や「なんの罪もない子どもらの命が理不尽に奪われた」ことへの怒りなど、多くの思いを抱え生涯ヒロシマを問い続けながら 2021年2月に出血性胃潰瘍のため88歳で亡くなった。

 広島のノートルダム清心中・高等学校では、平和活動を行う同好会のメンバーや図書委員から希望者を募り18名で読書会が開催。本書への感想が寄せられた。

 「この本は 80 年前に生きた自分の本なのだ、と私は感じた」「広島で生まれ育った者としてこの事を必ず後世に伝えていかなければならないと思いました」「名も顔もある少女たち一人一人の死と向き合うことで、戦争と平和について改めて深く考えることができる一冊です」「『無惨などろどろの死体となった級友』という言葉が想像するだけで恐ろしくて、自分が住んでいる広島という町で80年前にそんな姿でたくさんの方が亡くなったことを忘れないようにしたいと思いました」「名前のリストや証言、風景が鮮明に書かれていてすごくリアルでした。今まで受けてきた平和学習とは違う面から、この本を通して戦争を自分ごととしてより捉えることができました」ーー。

 今回、寄せられた高校生からの感想に著者の遺族からは「感想文から、着実に若い世代の皆様の間に様々な感情や考えが芽生え、行動に繋がっていることが伝わってきます。後世への伝達が母の執筆の主目的の一つだったことを考えますと、終戦から80年の今、このような広がりがみられることに、母もとても勇気づけられ、安堵したのではないかと考えます」とのコメントが返された。

 ノートルダム清心中・高等学校から届いた18名の感想文は、広島県内の書店を中心に店頭POPとしても掲出予定。本書の内容は2025年8月6日から3日間限定で全編無料公開する予定だ。

■書誌情報
『広島第二県女二年西組――原爆で死んだ級友たち』
著者:関千枝子
価格:924円(税込)
発売日:1988年6月28日
出版社:筑摩書房

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