アムロが途中で戦死!? 『ジークアクス』とも関連する小説版『機動戦士ガンダム』の衝撃

スタジオカラー×サンライズによる異色作として、大きな話題を呼んだ『機動戦士Gundam GQuuuuuuX』(以下、ジークアクス)。同作はTVアニメ『機動戦士ガンダム』(以下、ファースト)を設定の下敷きとしていたが、ほかにもさまざまな関連作品が元ネタとなっている。その1つが、富野由悠季による小説版『機動戦士ガンダム』だ。
今回は『ジークアクス』の元ネタとなった部分も含めて、その意外な設定の数々について振り返ってみたい。

小説版『機動戦士ガンダム』は1979年から1981年にかけて刊行されたもの。アムロ・レイを主人公として、地球連邦とジオン公国による一年戦争を描いたストーリーだが、『ファースト』とはさまざまな点で設定が異なっている。
まず『ジークアクス』との関連でいえば、シャリア・ブル大尉の扱いは要注目だ。『ファースト』では“木星帰りの男”として第39話に登場するも、アムロに撃墜されてたった1話で退場していったキャラクターだが、小説版ではかなり存在感が強くなっている。
ギレンの特命を受けてキシリア麾下のニュータイプ部隊に加わる展開は同様だが、そこでシャアとの絆を深めることに。シャアはシャリアを自分以上の腕前とも評し、信頼に足る相棒のような関係を築くのだった。さらにシャリアは、アムロに同盟を持ち掛けるという重要な役目まで担っている。
またシャアに関しても、驚くべき展開が次々と描かれる。そもそもシャアは士官学校時代からガルマ・ザビと親交を結んでいたが、その内心にはつねにザビ家への復讐心があった。そしてホワイトベースが地球に降りた際、戦闘中にガルマが死去するように策謀を巡らせる……というのが『ファースト』での展開だ。
ところが小説版のシャアは復讐心を友情が凌駕しており、あろうことかガルマを助けるために自ら出陣。ザビ家への恨みが胸の内によぎるものの、ガルマが撃墜されそうになっている姿を見て絶叫するのだった。
さらにガルマの「ジオン公国に栄光あれ!」という最期の言葉を聞くと、「……お坊ちゃんらしいよ」と呟き、士官学校の頃を思い出しながらしばし感傷にひたる。その後、ガルマの追悼演説に触れて「坊やだからさ」と呟く場面もあるものの、同じセリフでありながら『ファースト』よりずっと素直でやさしい言葉のように響く。




















