暴走族専門誌「チャンプロード」Amazon総合チャートにランクイン 昭和・平成のヤンキー文化リバイバルに熱視線

あの伝説の暴走族専門誌「チャンプロード」(笠倉出版社/刊)が令和の時代に復活した。5月30日に発売された最新号は、Amazonの本の売れ筋ランキングでは総合100位以内にランクインするなど(2025年6月5日時点)話題を集めている。表紙を見ると「古今東西ニッポン不良エンタメマガジン」と題し、「昭和100年記念 不良達よ再び熱狂しよう」と刺激的かつ心躍るコピーが並ぶ。「昭和・平成・ヤンキーを文化を振り返る」などの特集もポイントで、現代の暴走族文化を取材しつつ、総集編的な内容になっている。
「チャンプロード」は1987年に創刊され、コンセプトは「皆んなが主役だ!! BARI×2チューニングMAGAZINE」。暴走族のチームを取材した記事や、少年院の塀の中での体験記、不良文化評論家の岩橋健一郎によるインタビュー、さらに文通コーナーまでと多岐にわたっていた。対象読者とされた不良だけでなく、“真面目な”高校生や大学生にも熱烈なファンが存在したことでも知られる。
かつて、暴走族を扱った雑誌は、女性暴走族“レディース”を取り上げた「ティーンズロード」もあった。1980年代後半~90年代の「週刊少年マガジン」はヤンキー漫画が多数連載されるなど、隆盛を誇った。しかし、2000年代以降は暴走族の減少が顕著になり、OBによって構成される「旧車會」などの文化が生まれたものの、時代の流れに逆らうことはできず、「チャンプロード」も2016年11月26日発売号で休刊してしまった。
■漫画の世界で暴走族が大ブーム
その後、暴走族は消滅してしまうかのように見えたが、漫画の世界で再び暴走族ブームが起こったのである。「チャンプロード」休刊の翌年にあたる2017年、「週刊少年マガジン」で連載が始まった『東京卍リベンジャーズ』(和久井健/著)はアニメ化・映画化もされるなど大ブームを巻き起こした。コミックマーケットでも、特攻服をまとい、キャラのコスプレをする人があふれていた。
かつてのヤンキー漫画・暴走族漫画の名作も再注目された。『今日から俺は!!』(西森博之/著)は2018年にテレビドラマ化、2020年には劇場版が公開された。『疾風伝説 特攻の拓』(佐木飛朗斗/原作、所十三/作画)は単行本が復刊され、原画展が開催されるなど再ブームの兆しを見せている。暴走行為や喧嘩は称賛されるものではないものの、暴走族漫画で描かれる仲間との友情や熱い主人公の姿は少年漫画の王道であろう。
昭和・平成カルチャーの一環として、暴走族文化に熱視線が注がれているというのが実情のようだ。令和の時代に復活した「チャンプロード」が、一過性のブームで終わらずに今後も刊行が続くかどうかが注目される。暴走族そのものは嫌いでも、暴走族文化には関心があるという人は少なくないためである。
古書市場では、かつて出版された「チャンプロード」が根強い人気があると聞く。昭和・平成にかけて存在した暴走族やヤンキーの文化をリアルタイムで記録した貴重な資料として、歴史学、社会学などの観点からも注目されているそうである。暴走族バイクを改造したり、特攻服を身にまとうなど、暴走族には独自の文化が数多く存在する。そういった文化が令和の時代の若者には新鮮に映ることが、再ブームが起こった要因のようだ。