東野幸治、なぜテレビの最前線で活躍できるのか? ラリー遠田が分析する“ブレない”姿勢と“フラット”な視点

■未成熟な若手を輝かせるMCの手腕
ソロ活動の中で磨かれたのが、今や彼の代名詞ともいえるMCとしての手腕だ。ラリー氏は、その能力を「天才的」と評する。
「MCとしての仕切りは、本当にうまいですよね。ただ段取りよく進行するだけなら、他にも適任者はいるでしょう。しかし東野さんは、そこにどうやって笑いを加えていくかを常に考えている。相手が誰であろうと、最終的にはやり取りを笑いに着地させることができるんです」
その真価が発揮されるのが、バラエティに不慣れな若手芸人やタレントと絡むときだ。相手が面白いことを言えなくても、その“不慣れさ”を東野がイジることで、結果的に笑いが生まれる。
「あえて意地悪なことや失礼なことを言うときもありますが、それが不思議と嫌味にまではならない。毒舌と受け取られるギリギリのラインを見極める、そのさじ加減が絶妙なんです」
一見すると冷たいキャラクターに見えるが、それも彼の“フラットさ”の表れだとラリー氏は分析する。
「冷たく感じられる言動に、悪気はないんです。観ている側も共演者も『東野さんはこういう人だから』と自然に受け入れている。だから、多少突き放すようなお笑いのスタイルをとっても、それが面白く成立するわけです」
このMCスタイルが世に広く知られるきっかけとなったのが、カルト的な人気を誇った深夜番組『あらびき団』(TBS系)だ。まだブレイク前の、場数を踏んでいない芸人たちの荒削りな芸を、東野がスタジオで“面白がる”という構図は、彼の真骨頂であった。
「まさにあれが、東野さんのMCスタイルの原点です。あの番組で、彼のそういう側面に多くの人が気づき、MCとしての仕事が増えるきっかけになった面もあると思います」
『あらびき団』は、出演者のポテンシャルを瞬時に見抜き、その面白さを引き出すという、極めて高いMC力が試される番組だったのだ。
東野幸治は、常に“フラット”な視点で世界と向き合い、自身の興味の赴くままに活動の幅を広げてきた。その柔軟なスタンスと、他者の魅力を引き出す天賦の才こそが、お笑いの最前線に立たせ続けている最大の理由なのだろう。
























