『呪術廻戦』最凶の呪術師・両面宿儺の正体は? 日本の神話や伝説から考察

 2024年9月30日発売の「週刊少年ジャンプ」44号で連載が完結し、昨年最終巻のコミックスが刊行された『呪術廻戦』。現在でも「劇場版総集編 呪術廻戦 懐玉・玉折」が公開されるなど、完結後でも話題となっている人気作品だ。そんな『呪術廻戦』の中出、最凶最悪の呪術師として知られるのが両面宿儺(りょうめんすくな)である。その正体は現在でもさまざまに考察がされているが、なぜそうした仮説が多く生まれるのだろうか。具体的な根拠を振り返ってみたい。

 宿儺の戦闘描写はこれまで作中で何度も描かれてきたが、そこで披露した技は、いずれも料理を髣髴とさせるものばかりだ。「解」と「捌」(はち)という2種類の斬撃、そして炎を使う「開」(フーガ)という技を見せているが、これは「切る」「焼く」といった料理の基本動作を連想させるだろう。

 それを裏付けるかのように、第119話では「解」と「捌」を解説するにあたって、包丁のイメージ図が描かれていた。また「一太刀で対象を卸す」という「捌」の説明文も、まるで魚でも捌くかのような書き方だ。

 そして、奥の手と言える領域展開の「伏魔御厨子」も料理に関連している。現代における「厨子」は仏具として知られているが、古くは厨房にて調理道具や食材などを仕舞う入れ物という意味だったという。それを踏まえると、大きな口と動物の骨を特徴とする「伏魔御厨子」のビジュアルが何やら意味深に見えてくる。

 術式の設定だけでなく、当の宿儺自身のセリフも、料理にまつわるものが多い。第8話で呪霊を「三枚におろした」と発言したことに始まり、第117話で魔虚羅と戦った際には「味見といった所だな」、第224話では五条悟について「俎板の上の魚」と表現していた。

 『呪術廻戦 公式ファンブック』の情報によると、宿儺の趣味は「食べること」らしいので、獲物を調理することには大きなこだわりがあるのかもしれない。さらには『週刊少年ジャンプ』掲載時、宿儺の登場する回で料理にまつわる煽り文が頻出することも印象的だ。たとえば、味見発言があった第117話では「実食開始」、第118話で宿儺が「伏魔御厨子」を領域展開した際は「万死の厨房」という一文が綴られることに。そして第119話では「美味なる死は入念な下拵えから」と、3話にわたって宿儺のクッキングタイムが形容されていた。

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