新連載の構想も!? 「刃牙」シリーズスピンオフ作家&編集者が語る、原作へのリスペクトと広がる可能性

「刃牙」シリーズスピンオフ座談会

新たにスピンオフ作品が生まれるとしたら?

ーーさて、先ほど「誰のスピンオフを作ろう」という、ファンならみんな参加したい会議のお話がありましたが、実現可能性は別として、皆さんはそれぞれどのキャラクターが好きだったり、スピンオフが読んでみたいか、ということも伺いたいです。

陸井:シコルスキーだけでなく、「最凶死刑囚」の5人はまだまだ掘れそうですよね。彼らがなぜ死刑宣告を受けたのか気になりますし、例えば「ドリアンが戦時中に日本に来て、どうやって中国に渡って海王になったのか」という過去のエピソードも知りたいです。

真島:特定のキャラクターではないんですが、「刃牙」のグルメ漫画は読んでみたいですよね。ただ、先ほども話に出たように、板垣先生のグルメ観をどう漫画にするのか……というのが難しいところで。

中村:擬音から独特すぎて(笑)。「モニュ…」みたいな咀嚼音だったり。

横井:先生いわく、「モニュ」は水分が含まれていてジューシーだけど、「モグモグ」は乾いているだろうということなんですよね。こういう部分まで再現すると考えると、確かに大変そうです。

ーー長く「刃牙」シリーズを担当していた横井さん自身は、どのキャラクターに思い入れがありますか?

横井:僕は烈海王と愚地克巳ですね。「ピクル」編が進行していたとき、板垣先生から「真マッハ突きを作りたいから、“音速を超える”というのがどういうことなのか、調べてきてほしい」と言われて(笑)。書店に行って物理学の本を読み漁るなかで、本編でも描かれた「鞭の速度が最大化するのは当てたときでなく引き戻した瞬間だ」という話を知って、「マッハ突きの最終形は、“当てない”ことなんじゃないですかね……?」と話したり。宮本武蔵のクローンについてもそうですが、ぶっ飛んで見えて、最初は調べごとをするんですよね。そんな思いでも含めて、烈海王はもう立派なスピンオフがあるので、克巳の物語を読んでみたいな、という気持ちはあります。

中村:僕は安藤さん(※安藤玲一。飛騨の山小屋で生活する巨漢の山岳監視員)はもっといけると思っています。グルメも含めた狩猟漫画は面白いんじゃないかと。

真島:夜叉猿との戦いで指を失っているのが難点かもしれませんね(笑)。

猪原:僕は単純に好きなキャラクターで、合気道の達人・渋川剛気。愚地独歩のスピンオフ『バキ外伝 拳刃』と被るかもしれませんが、やっぱり若い頃に何があったのか知りたいですよね。今だからこそ年齢を重ねて落ち着いた部分があると思うんですが、戦後のどさくさのなかで、ヤンチャだった時代はどうだったのか。ちゃんと格闘技とその歴史に精通していないと描けないと思うので自分は手を挙げられませんが、読んでみたいです。

ーー「刃牙」シリーズ本編の行方とともに、その魅力を補完・拡張してくれる両作品についても、ファンは引き続き注目していくと思います。最後にメッセージを。

猪原:詳しいネタバレは避けますが、最近の展開で「神と戦って勝ったら、そこで終わりじゃないか!」と思われている読者の方々には安心していただきたいです。まだまだ物語は広がっていきますので、ぜひ期待してください。実際、あまり先まで考えて予定調和になっていくと「刃牙」っぽくならないので、描いてみないとわからない部分も大きいのですが。

真島:本編では実現しなかった対戦カードを、近い属性の異世界キャラクターを使って擬似的に行うことは可能だと思いますので、「烈海王があのキャラクターと対戦していたら」と想像しておくのも、今後に向けて楽しいかもしれませんね。

陸井:僕は烈海王を描くだけです!(笑)

中村:『ガイアとシコルスキー』については、僕自身が一生読んでいたいので、一生このまま進んでほしいと願いながら担当しています(笑)。もし出してほしいキャタクターがいたら、ぜひ教えてください。

『バキ外伝 烈海王は異世界転生しても一向にかまわんッッ』
https://championcross.jp/series/f902e34463596

『バキ外伝 ガイアとシコルスキー ~ときどきノムラ 二人だけど三人暮らし~』
https://championcross.jp/series/e76cd5db52ef2

関連記事

リアルサウンド厳選記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「インタビュー」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる