怪談和尚・三木大雲はなぜ「未来予言」をするのか? 話題の書『仏教コード』の真意を聞く

三木大雲『 仏教コード』インタビュー

 2024年12月に発売された『お経から読み解く未来予言 仏教コード』(Gakken)が重版を重ねている。著者は、自身の体験や相談に基づく怪奇現象、現代の怪談などを説法へと繋ぎ、仏教の教えを説く「怪談説法」で知られる蓮久寺住職・三木大雲。怪談を用い仏様の教えを広めてきた住職に、「予言」というテーマで書き上げた本書について話を聞いた。

『仏教コード』の出版は元来の目標だった

『お経から読み解く未来予言 仏教コード』(三木大雲/Gakken)

ーー三木さんは「怪談説法」で有名ですが、今回「予言」というテーマで一冊をまとめたのはどんな理由からでしょうか。

三木:そもそも怪談説法を始めたきっかけが、暴走族の子たちに話を聞いてもらうことやったんです。彼らの服に「天上天下唯我独尊」という刺繍がされていて、それはお釈迦様がお生まれになって最初に発した言葉ですから、ちゃんと意味を伝えたいと。最初は「うるさい!」と一蹴されてしまったので(笑)、彼らも興味を持ってくれる「怖い話=怪談」として説法をするようになったんです。

 そうして彼らと仲良くなって、家に呼んだりしていたんですが、そのときに話していたのが、実は「未来予言」も含めてお経の意味を伝える『仏教コード』の内容でした。これがすごく好評で、「有名になったら本を書くわ!」と一緒にサインを練習したり(笑)。ですから、本来やりたかったのは今回の本を出すことで、まずは有名になるために怪談を続ける、という流れやったんです。絶対に批判を受けるということは覚悟の上で、怪談をする期間は10年と決めていたのですが、ありがたいことに予定より早く『仏教コード』を出すことができました。

ーー暴走族の若者たちに伝えたように、「怪談」を入口にするのは仏教の教えを広めるいい方法にも思えますが、やはり批判はあったのでしょうか。

三木:もしかしたら日本の半分くらいの人に嫌われてるんちゃうやろか、と思ってしまうくらいでした(笑)。たとえば、テレビに出させていただくと、怪談のあとの説法の部分を全部カットされることがあるんです。「それはやめてください」とお話ししたときに、あるプロデューサーさんがおっしゃったのは「まずは三木大雲という名前を売って、有名になったらやりたいことをやりましょう」と。番組の都合もわかりますし、批判があるのもある意味で健全なことですから、何年間かは叩かれる覚悟でやっていましたね。いきなり真実を伝えるとかえって混乱し、疑いが生じるーーと、お釈迦様が人々を悟りに近づけるために考えられていた「方便」が、いわば私にとっての「怪談説法」なんです。

ーーそうして、いま本来の目的を果たせる状況になったということですね。

三木:スピリチュアルに聞こえるかもしれませんが、このタイミングになったのも仏様の采配やなと思うんです。それがわかるのは、縁がつながってきたこと。怪談本を出すことができて、それが翻訳されて海外の方もお寺にきてくれることが増えてきて。そんななかで、このあたりで「ただスリラーストーリーを話しているわけではないんですよ」というためにも、そろそろお経の本を出さなければと(笑)。そう考えていた矢先にGakkenさんから声をかけていただいて、これが仏様の指示なんです。その都度あるご縁が、実はその人にとって「その道を生きなさい」という声なんですが、そこで「しんどい」「お金にならない」など、欲得が出てしまうとうまくいかない。SNSなど雑音も多くて、いまの世の中がそうなっている、というのもこの本を出すタイミングなんやと思います。

蓮久寺第38代住職・三木大雲氏

 実は『仏教コード』というタイトルも、暴走族の子たちと話していたときに決めていたものなんですが、すっかり忘れていたんですよ。今年のお正月に40代になった当時の子たちが会いに来てくれたとき、この本を見て「とうとう出ましたね!」と言われて、調べてみたらタイトル案を書き出した紙も残っていて。私が何かしたというより、周りの人たちからの「あれやり」「これやり」という声に従って動いていった結果なんです。

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