怪談和尚・三木大雲はなぜ「未来予言」をするのか? 話題の書『仏教コード』の真意を聞く

八百年周期説と直近で起こり得る災害
ーーミステリを想起させる書名に「未来予言」という気になるテーマもあり、刺激を求める読者の期待に応えるものでもありますが、一方で不安を煽るより、起こり得る危機を想定しつつ、心穏やかに生きていくための処方箋のような内容が印象的でした。
三木:ありがとうございます。これも縁ですが、この本を出さなければと思った理由のひとつに「八百年周期説」というものがあります。私がたまたま京都大学に量子力学の講義を受けにいったとき、教授が「人類の文明や文化は800年周期で変化している」とおっしゃっていて、そんな折にちょうど「日蓮聖人降誕800年の記念事業を手伝ってもらえないか」というお話を受けたんです。この「800年」というのがなぜか私にリンクしてくるので、800年前のことを調べてみると、現代と一致することがすごく多かった。本に書いていますが、計算してみると鎌倉時代の大地震や疫病、要人の暗殺などがぴたりと付合していて、「このまま行くとえらいことになるかもしれない。止め方を早く発表しなければ」という思いになったんです。仏様のご意思だと思いますね。
ーー「予言」の具体的な内容についても、あらためて聞かせてください。
三木:『仏教コード』の未来予測はお経の解読とともに、科学的知見や古文書など、さまざまなものから読み取った結果です。根拠は本のなかで詳細に述べていますが、直近では東日本大震災の14年後ーーつまり今年2025年に大地震が起こることが心配されます。東北は「鬼門」となる方角で、日本にとって清浄に保たなければならない大切な場所。それが破られたいま、鬼が攻め込むとすれば「裏鬼門」になり、日本列島のどこを中心とするかで誤差はありますが、仮に京都を中心にすると、四国・南九州あたりが該当する場所だと思います。そして、2025年に大地震が起こったとすると、3年後の2028年に大変な食糧難が起こることになってしまう。鎌倉時代には、初夏に雪が降る「時節反逆難」が起こっていますので、これが観測されれば飢饉の前兆だと考えていただきたいです。

お経に年月日が書かれているわけではないので、「必ずその年に起こる」ということではありません。ただ、心構えはしておいていただきたいんです。被害を最小限に抑えるためにするべき努力も、本書にまとめています。
ーー大災害などの予言に仏教の基礎的な解説と、一見難解にも思える本書ですが、身近な例え話などがあり非常にわかりやすく、読みやすい本になっています。話術については「怪談説法」を聴けば言わずもがなですが、文芸や話芸という面で、どんなものに影響を受けてきたのでしょう?
三木:小学生の頃から作文が大好きで、ただ文章がすごく下手やったんです。そのまま高校生になって、山田太一さんの本に出会って、話し言葉でも書き言葉でもない、ちょうど間くらいの文章がとても素晴らしくて、これを目指したいなと。それで趣味のように作文を続けて、少しは上達したと思うんですが、もっとダメだったのがしゃべり言葉やったんです。文章ではそれなりに説明ができても、話すとうまく説明できない。
どうやって簡潔に説明すればいいのか……というのを勉強したのが漫才ですね。やすきよ(横山やすし・西川きよし)さんや島田紳助さん、上岡龍太郎さんやダウンタウンさんのしゃべりの間をストップウォッチで測って、質問を受けたときにどれくらいの速度で返すべきかとか、自分なりに研究しました。大学時代には人間の心拍/ビートを考えて話すという、相手に伝わりやすい話し方も学んで、これも大きかったと思います。
お坊さんの世界では「ゆっくり話せ」と言われますが、そうするとお年寄りには理解されやすいけれど、若い人には飽きられてしまう。だから私は、相手によってビートを変えるべきだと考えているのですが、よく叱られました(笑)。





















