粗品の“辛口すぎる”審査の裏にあった大阪愛 専門家に聞くM-1審査員の可能性は?
粗品が物議を醸す審査をした理由
粗品の評価が賛否を呼んだ背景には、彼のYouTubeでの振る舞いとも共通する要素があるという。
「粗品さんはYouTubeで『1人賛否』という企画をやっていますが、あれもネットの世界で芸人が注目を浴びるためのパフォーマンスの一環ではないでしょうか。彼自身、先輩から『粗品はええ子すぎる』と言われてきた経緯があり、それを払拭するためにあえて極端なキャラを作っていると思われます」
今回の審査についても、「1人ぐらい辛口の評価をする審査員がいてもいいのではないか」という計算があったのではないかと鈴木氏は推測する。
「審査員が全員同じような採点をしていたら、面白みがないうえに大会も注目されにくい。だからこそ、自分が思う採点基準を打ち出して大会自体の話題性を高めつつ、現役漫才師としてしっかりとアドバイスする役割を果たそうとしたのでしょう」
M-1も粗品が審査するべきか
では、粗品は『M-1グランプリ』の審査員としても適任なのだろうか。この点について、鈴木氏は「バランスの問題」だと指摘する。
「現役漫才師が審査することには大きな意義があります。ただ、『M-1』のような規模の大会になると、コアなお笑いファンだけでなく、一般視聴者であるライト層にも伝わる人選が必要になってくると思います」
過去には2015年の『M-1』で、審査員が現役漫才師のみで構成されたことがあった。しかしその後、落語家の立川志らくやピン芸人の山田邦子など、異なるジャンルの審査員が加えられたのは、より多様な視点を取り入れるためだったと思われる。
「賞レースとしての『M-1』が今後も発展するためには、コア層だけでなく、幅広い層を取り込む審査が求められます。ただ、令和ロマンのくるまさんも昨年の優勝後に審査員への意欲を見せており、お笑いファンとしては、彼らがどのような審査をするのかは見てみたいですね」
粗品の審査員としての手腕は、今回の『ytv漫才新人賞決定戦』で十分に発揮された。しかし、すべての賞レースが同じスタイルで進むべきかというと、また別の議論が必要になるだろう。バランスを取りながら、賞レースが進化していくことが今後の課題となる。






















