〈オタク市場〉最も成長したのは同人誌、 今後の注目ジャンルは? 矢野経済研究所アンケート調査を考察

■ほぼすべてのオタク市場が成長
株式会社矢野経済研究所は、国内の2023年度の“オタク”に関して調査を行い、その結果を2月5日に発表した。同研究所は、国内の主なオタク市場を16分野に分け、その市場規模について分析。結果、16分野(市場)のうち14市場が成長しており、オタク市場が一層の盛り上がりを見せていることがわかった。
成長した14市場は、アニメ、同人誌、インディーゲーム、プラモデル、フィギュア、ドール、鉄道模型、サバイバルゲーム、アイドル、プロレス、コスプレ衣装、メイド・コンセプトカフェ及びコスプレ関連サービス、音声合成、2.5次元ミュージカル。縮小したのは、トイガン、ボーイズラブの2市場となった。
14市場のうち、もっとも成長したのは同人誌市場で前年度比37.9%増となった。同研究所はその要因として、コロナ禍の収束に伴い、コミックマーケットなどの同人誌即売会の参加者数が回復したことや、海外向けの翻訳版の同人誌の販売も好調であることなどを理由として挙げている。
■2.5次元ミュージカルが絶好調
また、同研究所が注目しているのが2.5次元ミュージカル市場の拡大である。2023年度の市場は、ユーザー消費金額ベースで前年度比4.2%増の500億円と推計している。2.5次元ミュージカルはコロナ禍の収束で公演数の回復に伴い、動員数も増加。観覧チケットはもちろん、グッズなどの売上が好調である点が市場規模拡大の要因のようだ。
昨今、2.5次元ミュージカルはインバウンドの来場者も増加しているといわれる。それは、原作の漫画を読んでいればストーリーを理解しやすいためといわれる。実際、ツアー客として訪れたと思われる、外国人の姿を見かけることは多くなった。声優やアイドルのライブなどでも同様の光景が見られる。
■『初音ミク』が根強い人気を維持
同研究所は合わせて、今後の成長を予測した12市場を発表した。その中でも注目に値するのが、音声合成市場である。いわゆる『初音ミク』に代表される、バーチャルシンガーキャラクターなどの市場だ。初音ミクは2007年に誕生してから、二次創作、コミカライズ、グッズ、ライブなど多岐にわたる展開を見せており、もはやオタク文化という枠を超え、日本文化の象徴的存在の一つと言っていい。
今後、注目に値するものとして、同研究所はバーチャルシンガーキャラクターが登場するゲーム『プロジェクトセカイ カラフルステージ! feat. 初音ミク』を原作とする劇場版アニメを上げている。このアニメは2025年1月に公開されており、この先はグッズの発売も続くことから、さらなる売上拡大が期待されるとのことである。
初音ミクは、これまでに多くのクリエイターによって魅力的な曲が生み出され、音楽市場にも貢献してきた。初音ミクに由来する曲を演奏するオーケストラコンサート「初音ミクシンフォニー」は、今年で10周年を迎える。新しいコンテンツが次々に登場する中、普遍的な人気を誇る初音ミクの凄みを感じさせてくれる。






















