漫画の「見開き」、デジタル化で「単ページ」で読む人が多数派に? 【推しの子】横槍メンゴ氏がXで調査
実写映像化も話題の『【推しの子】』で知られる漫画家の横槍メンゴ氏が、Xでアンケートを実施。漫画をスマートフォンやタブレットで読むシチュエーションが多くなっているという前提で、「見開きを正しい形状で読んでいる人」の割合が気になるとして、フォロワーに投票を呼びかけた。
漫画、もう実際スマホかタブレットで読まれるシチュエーションが一番多いような気がしてるけど
見開きを正しい形状で読んでる人の割合きになるなぁ— 横槍メンゴ🐰🎀 (@Yorimen) January 20, 2025
結果は、「ページ単位で読んでるから右から…」が76.4%、「漫画よむときは見開きで表示して読んでる」が23.6%。作品のファン層を考えると若い世代の回答が多いと思われるが、多くのコミックアプリや漫画サイトが「見開き表示」する機能を備えているなかで、見開きで描かれたページも結果として分割しているユーザーが実に4人に3人以上という結果になっている。漫画家としては当然、見開きで表現したものは見開きで読んでほしいはずで、回答者がファンとしての忖度をしていれば「見開き表示」の数字が伸びただろう。「ページ単位で読む」は忌憚のない回答で、少なくともフォロワーの実情以上に大きな割合になっている可能性は高くなさそうだ。
もっとも、近年では特にウェブ連載を念頭においた作品に関して、「単ページでも成立する見開きの作り方」をしているケースが散見される。例えば、SNSで指摘されて話題になったのは『【推しの子】』と同様にコミックアプリ「少年ジャンプ+」で好評連載中の『怪獣8号』。2021年に注目を集めたブログ記事「スマートフォンでマンガを読む時代における「見開き」の表現について:『怪獣8号』の事例(マンガLOG収蔵庫)」で細やかに分析されているように、単ページで読む読者を想定し、見開きの構図としては2ページ目にかかった方が自然なテキストをあえて1ページで収めたり、一斉射撃で撃破される怪獣の姿を描写する上でも、1ページ目で頭を撃ち抜かれ、2ページ目で全身が穴だらけになっていることがスムーズに理解できる構成になっていたりと、単ページで必要な情報が得られるよう工夫されていることがわかる。
この内容については、元「ジャンプ+」編集長で、現在は海外向けマンガ雑誌アプリ「MANGA Plus」の編集長を務める細野修平氏も、「これ、本当にそうだなと。ジャンプ+作家さんはスマホでの見開き表現に適応しつつあると思います。スマホでは見開き表現が死ぬ!みたいな話がありましたが、漫画家さんは予想を上回る形でそれを超えていきます」「今は、紙のコミックスとスマホで見られることを両方意識して描く、という作家さんも増えています」と反応していた。
これ、本当にそうだなと。ジャンプ+作家さんはスマホでの見開き表現に適応しつつあると思います。スマホでは見開き表現が死ぬ!みたいな話がありましたが、漫画家さんは予想を上回る形でそれを超えていきます。https://t.co/hkAHEswm9S
— 細野修平@MANGA Plus編集長 (@HosonoShuhei) February 6, 2021
また、横槍メンゴ氏が手がけた『【推しの子】』最終話の終盤、ネタバレになるため詳細は避けるが、ステージを見開きで描写する感動的なシーンがあった。こちらも、ステージに立つ人物の全身は1ページ目に収まり、2ページ目で主要キャラクターの表情のアップがコマ割りで描かれるなど、「単ページでも迫力があり、見開きで読むとよりエモーショナルなシーンになる」という工夫が感じられるものだった。
文字数やコマの大きさ/割り方も含めて、媒体の変化でかつての表現が「失われつつある」というより、「新たな表現方法を模索して進化を続けている」と見ることもできるだろう。デジタル版と紙の雑誌や単行本を見比べてみると、作家や編集者の努力が伝わるかもしれない。























