「鉄道ジャーナル」についで「トラベルジャーナル」も……老舗専門雑誌の休刊は今後も続いてしまうのか?

■相次ぐ専門雑誌の休刊

硬派な専門雑誌が相次ぎ休刊。専門雑誌は今後どうなる?

  
 旅行業界向けの専門誌「週刊トラベルジャーナル」(トラベルジャーナル/刊)が、2025年3月31日号(通巻3447号)で休刊することがわかった。1月27日、刊行元のトラベルジャーナルが公式ホームページで明らかにした。東京オリンピックを間近に控えた1964年6月に創刊され、昨年で創刊60周年を迎えた専門誌が歴史に幕を下ろす。

  発表によると、「週刊トラベルジャーナル」は国際観光事業に関わる産業界の発展に寄与することを掲げて創刊された。以来、「観光旅行市場やビジネスの動向を特集企画やニュースにコラムなどを様々な視点で報じてきた」とする。今回の休刊に至った経緯について、同誌はこのように述べている。

 「昭和から平成、令和へと時代が移り変わるなか、私たちメディアを取り巻く環境は激変してしまい、今回の判断に至りました。創刊から60年の長きにわたり多大なるご支援を賜りましたこと、心より御礼申し上げます」

  合わせて、休刊に伴い、定期購読の新たな取り扱いは中止するという。また、WEBメディアである「トラベルジャーナルオンライン」も3月31日で情報の更新を休止するほか、バックナンバーなどの販売も同日をもって休止する。インバウンドが増加し、日本の旅行需要が高まる中で専門誌が休刊することに対し、惜しむ声が上がっている。

  先日も、鉄道ファンが愛読する専門誌「鉄道ジャーナル」が4月21日発売の2025年6月号の刊行を最後に、休刊すると発表したばかり。漫画雑誌やファッション雑誌が軒並み部数を減らす中、特定の趣味人をターゲットにした雑誌は部数が堅調とされ、今後も大きく部数を落とすことはないと考えられていたため、出版界に大きな衝撃を与えた。

  現在、専門誌はぎりぎりの部数で刊行が続くと予想する識者もいる。売り上げ減の影響などで、2025年以降は、専門誌の冬の時代になる可能性が高い。しかし、専門誌や専門メディアに掲載されている情報は、一般的な雑誌やウェブサイトで読めないような編集者を介在した良質な記事も見受けられる。「週刊トラベルジャーナル」休刊に伴い、同誌が発信し続けてきた情報を代替できるメディアが出現するかどうか注目されるが、雑誌は広告収入がメインの媒体であるが故にマネタイズの部分で難しい現状もあるだろう。

  なお、トラベルジャーナルは、以前は旅行ガイドブックをはじめ、旅行業者向けの書籍を数多く出版していた。代表的なものは旅行業務取扱管理者試験の対策テキストで、ほかにも時刻表検定試験の対策テキストを編集・発行していた時期もあった。しかし、2004年にすでに書籍の事業から撤退しているため、今後の同社の出版業務が気になるところである。

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