【漫画】『こち亀』に人生救われた体験を描く『いじめから脱出させてくれたこち亀』予想外のオチに反響

【漫画】『いじめから脱出させてくれたこち亀』

数年前からあった「いつか漫画にしたい」という思い

――『いじめから脱出させてくれたこち亀』を制作した背景は?

大石:このエピソードは自分の中で人生のターニングポイントだったため、数年前からSNSへの漫画投稿を始めた時から「いつか漫画にしたい」と思って準備していました。その後、ありがたいことに漫画『新古書ファイター真吾』(皓星社刊)の単行本化のお話をいただき、そちらに注力するために一度中断したのですが、刊行後に時間ができたので昨年の夏に集中して描き上げました。

――本作は完全ノンフィクションということで良いのですか?

大石:そうです。完全ノンフィクションのエッセイ漫画です。

——本作も文字がとても多い作品でしたが、『こち亀』のオマージュという狙いもあったのでは?

大石:確かに『こち亀』も比較的文字が多い作品です。ただ、その意図はありません。普段描いているギャグ漫画もモノローグが多い作風なので、本作もその延長線上で文字が多くなりました。

——文字が多いと読者を遠ざけるリスクもありますが、セリフや地の文を決めるうえで注意することも多そうですね。

大石:いじめというデリケートな内容なので、「説明しにくいニュアンスの心情をどう言語化するか」「伝えたいことが伝わっているか」は何度も検討し、無理に文字を削ることもしませんでした。その中でなるべく読みやすくなるよう心がけたのですが、もっとうまく描けるようになりたいです。

「まず漫画を読んで笑おう」

——ちなみに大石さんが好きな『こち亀』のエピソードは?

大石:1つ選ぶとしたらやはり57巻の「浅草物語」でしょうか。普段バカをやっている両さんが、ヤクザになった小学校の同級生と対峙した時のカッコ良さに心を打たれました。

――そのエピソードが「人生は適当でも良いんだ」と感じさせてくれたのですか?

大石:いえ、「人生は適当でも良いんだ」は特定のエピソードがあるわけではなく、いろいろな『こち亀』のエピソードを読む中でふと思ったことです。

——改めて本作を通して伝えたかったメッセージを教えてください。

大石:特に今いじめで苦しんでいる子供やその親御さんに読んでもらいたいです。いじめられると、それだけが世界の全てであるかのように、視野が狭くなって苦しくなってしまいます。ただ、それを真正面から受け止める必要はなく、両さんが仕事をサボるくらいの気持ちで捉えられると世界は変わります。

――漫画にはその力がありますからね。

大石:はい。あと、とにかく『こち亀』を買って読めば絶対笑えるので、「まず漫画を読んで笑おうよ」と伝えたいです。もちろん他の漫画でも良いですし、もし良かったら私の漫画でもきっと心が軽くなると思います。

――今後はどのように漫画制作を展開していく予定ですか?

大石:まず『新古書ファイター真吾』が絶賛発売中なのでぜひ読んでもらえると嬉しいです。また、現在はウェブマガジン『web望星』にて『積読戦士ツンドくん』という積読をテーマにした漫画を連載中なので、こちらもよろしくお願いします。主に本にまつわる楽しい漫画を今後も細々と描き続けていきたいです。

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