『梨泰院クラス』『ミセン』『ナビレラ』縦読み漫画「ウェブトゥーン」原作ミュージカル続々、人気の理由は?

『神と共に』『密かに偉大に』から広がったブーム
『梨泰院クラス』がミュージカルとして戻ってくる。来たる6月、世界で初めてミュージカルとして日本で上演されるのだ。一本気の男パク・セロイが、傲慢な飲食業界の“帝王”にすべてを奪われた復讐のため業界でのし上がっていく本作は、リベンジものとサクセスストーリーの良さを併せ持つ韓国ドラマ界の金字塔となった。カカオページによる「スーパーウェブトゥーンプロジェクト」の第1弾として発表された原作ウェブトゥーンは、連載当時有料売り上げNo.1など華々しい成績を上げ、ドラマ版もまた韓国のケーブルテレビ史上7位の高視聴率を叩き出した(2020年時点)。これだけメガヒットを収めたコンテンツのメディアミックス作品は手堅いとは思うが、だからこそ“失敗できない”というプレッシャーもある。それゆえ、舞台ならではの工夫が成功の鍵となる。
韓国でのウェブトゥーンの舞台化について歴史を紐解くと、2007年の『華麗なるギャツビー』以外では演劇が主流だったが、映画化もされた『神と共に』や『密かに偉大に』(映画の邦題は『シークレット・ミッション』)といったウェブトゥーンが相次いでミュージカルとなりブームとなった。特に、個性豊かな冥界の使者たちが亡くなった人間を連れて閻魔大王を訪ね、審判を受けつつ現世に残した未練や大切な人への思いを明らかにし新たな人生へ送り出す『神と共に』シリーズの「あの世編」では、本作のエッセンスとなる地獄という場所を、円形の舞台にLED水平スクリーンを設置して作り出した(※1)。手がけたソウル芸術団のプロデューサーによれば、この舞台は作品が持つ“輪廻”というメッセージも込められているという。ミュージカル化により作品世界への理解がより深いものとなったのではないだろうか。
日本ではすでに、大ヒットドラマ『ナビレラ』がミュージカル化されている。定年を迎え生きがいを見失った老人が、ひょんなことからかつて夢見たバレエダンサーにスランプ中のバレエダンサーと一緒に再びチャレンジする本作は、2019年に初めて韓国でミュージカルとなり、2024年に待望の日本上陸を果たした。鑑賞レポート(※2)を読むと、ドラマ版ではソン・ガンが演じた主演の一人、チェロク役の三浦宏典のバレエジャンプが圧巻だったそうだ。5歳からクラシックバレエを習い、入賞経験もある役者の本物の躍動感を目の当たりにするにはやはりステージが相応しいだろう。