人気漫画家・をのひなお、最新作は現代版サスペンス「結局『明日カノ』じゃん!とは思われたくなかった」

『明日カノ』作者・をのひなお最新作をきく

■『明日カノ』作者・をのひなお、新連載スタート

 2019年に連載開始した『明日、私は誰かのカノジョ』が大ヒットし、瞬く間に人気漫画家となった、をのひなお。をのにとって初連載となった同作品は、個性豊かなキャラクターの魅力もあって共感の声が相次ぎ、ドラマ化などメディアミックスが次々に展開される人気作となった。2023年に惜しまれつつ連載終了した直後から、次回作を期待する声がSNS上にあふれていた。

© Hinao Wono / Cygames,Inc.

 そんなをのによる最新作『パーフェクト グリッター』が、11月15日からマンガ配信サービス「サイコミ」で配信開始された。主人公は、東京郊外で暮らし、SNSに写真を投稿することを楽しみに過ごしていた孤独な女性・モモ。ある日、モモのもとに、憧れのインフルエンサー・イチカからDMが届く。そして、思いもよらない形でイチカに対面できることになったモモ。しかし、これを機に2人の運命は複雑に絡み始める――という物語だ。

 イチカをリスペクトしてやまないモモの揺れ動く感情の表現、リアリティ溢れるセリフや仕草など、『明日カノ』で読者を魅了した、をの氏ならではの緻密な心情描写は健在である。そして、現代社会を舞台にしながらも、『明日カノ』とは異なるサスペンス系の物語に仕上がっている点にも注目だ。今回、連載開始を記念し、をのにインタビュー。物語の見どころから創作中の裏話まで、濃密に話を聞いた。

■待望の新作は現代版サスペンス

――『明日カノ』の最終巻、17巻が今年2月に発売されました。物語が完結して“『明日カノ』ロス”に陥っていた読者も多いと思います。そんななかで、をの先生の待望の新連載『パーフェクト グリッター』が始まりましたね。さっそくですが、執筆に至った経緯から伺いたいです。

をの:『明日カノ』が終わって、担当さんと「次は何を描こう?」と打ち合わせをしたとき、次回作は内容をガラッと変えたいね、という話になったのです。「結局、『明日カノ』じゃん!」と思われない内容にしたいと思って、『明日カノ』になかった要素、出てこないタイプのキャラを入れようとした結果、『パーフェクト グリッター』が生まれました。

――主人公のモモ、そしてイチカのイメージはどのように生み出したのですか。

をの:登場人物をどうしようかと考えていた時、XにモノクロのイラストをUPしたら、結構反響があって。そのイラストをベースに作ったのが、モモとイチカです。

――モモはどんな主人公か、教えていただけますか。

をの:モモは東京の外れで、都心に出るまで電車で1時間ぐらいかかる場所に住んでいる女の子。人付き合いや他人と関わることが苦手で、友達がいない。その反面、SNSで自分を発信することが喜びです。

――対する、インフルエンサーのイチカは。

をの:モモから見たイチカのイメージは、人付き合いができて、見た目もかっこよくて、SNSの使い方が上手い女性という感じでしょうか。私はイチカのイメージを、描きながら固めていっている感じです。最初に細かいことを決めちゃうと後で自分が苦しむと思い、敢えてざっくりとしか考えていません。

© Hinao Wono / Cygames,Inc.
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■様々な仕事をしてきたことが役立っている

――以前、をの先生はインタビューで、物語よりも先にキャラを作るほうが多いとおっしゃっていました。今回も先にキャラから生まれた感じでしょうか。

をの:担当さんと次回作の話をしたときに、ある程度話の流れを考えているので、今回はキャラよりもストーリーが先でしょうか。最初の打ち合わせで話の大筋が決まり、細かいところはさらに打ち合わせを重ねて詰めていきました。ちなみに、最初はまた『明日カノ』みたいなリアル路線でいこうと思っていたのです。ただ、担当さんから、「リアルなものばかり描いていると、それしか描けなくなって作家としての寿命が縮んでしまう」と言われてしまい…。それならば、今まで挑戦したことがないものを描こうと思いました。

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