新選組を題材にした漫画はなぜウケる? アニメ放送迫る最新の人気作『青のミブロ』の魅力に迫る

新選組を題材にした漫画はなぜウケる?

 におが目指す世界とは、ただ1つ――「子供が安心して泣ける世の中」である。「笑える」ではなく、「泣ける」であるところが、幕末という血で血を洗う時代らしい発想ともいえるが、彼は、もしそんな泣いている子供(これは、かつての自分自身の投影でもある)がいれば、そっと手を差し伸べたいと考えているのだ。そして、誰もがそうであるような世の中になってほしいと願っているのだ。

 ちなみに、物語の第1部では、近藤派による芹沢派の粛清がクライマックスで描かれる。その過程で、におは芹沢鴨という1人の漢の中に共存する“正義”と“悪”を目の当たりにすることになるのだが、芹沢の死は、彼だけでなく、隊全体に大きな“何か”を遺す。

 いずれにせよ、本作は、“正義”とは何かということを、あらためて読み手に突きつけてくる直球勝負の少年漫画である。幕末とは異なる意味で“先”が見えない現在――ちりぬにおという真っ直ぐな少年の生きざまに注目されたい。

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