【漫画】「着ぐるみ」に対して冷めた子どもにどう対応? 黒い笑いと温かみが共存した『うらみちお兄さん』

【漫画】『着ぐるみVSこども』

――『着ぐるみVSこども』はどのように制作されましたか。

久世岳(以下、久世):「着ぐるみの中の人問題」という、夢と現実が隣り合わせな状況は対子供で作ると鉄板ネタになってしまいます。なので、特に深く考えずにネームを切った話のひとつでした。

 似た事例の「サンタクロース問題」も含めて、誰しもが1、2個は面白エピソードがあるんじゃないかなと想像しています。

――制作に当たって実際に体験されたり、取材などされたのでしょうか。

久世:特別な体験や取材などは特にしておりませんが、恐らくほとんどの方が幼少期から現在に至るまでの間に一度は考えることだとは思うので、親近感を感じる題材なのではないかなと。

 主人公・うらみちお兄さんを始めとしたキャラクターたちは、着ぐるみを着ることで明確なオン/オフがあるので、ある種のギャップというか大人ならではの切り替えを持っています。そこに個人的に魅力を感じていて。その部分に共感していただけたら嬉しいなと思います。

――「パパを食べる」というくだりは子ども相手に効果的な言い回しだなと思いました。このような表現のアイデアはどこから?

久世:ギャグマンガということもあり、本作に登場する子どもは現実的な語彙力や会話能力にリアリティを求めてはいません。対応としては正しくないとは思います。あくまでフィクションとして、深く考えず軽い気持ちで楽しんでいただければと。

――「子どもの夢を守る」ことについて、ご自身はどう考えていますか。

久世:自分自身、幼少期に夢を守ろうとしてくれた大人、またそれを壊そうとする少しませた同世代の子供のどちらにも接した記憶があります。幼少期を経て大人になった今、どちらの気持ちもわかります。

 何が善か悪かという話はいくつになっても人それぞれなので答えはないと思います。ただでさえ何かにつけて窮屈な世の中なので、何を押し付けるでもなく人それぞれの正義で良いのではという考えです。

――憧れ、影響を受けた作品や作家はいますか?

久世:おこがましいレベルではありますが、非常にリスペクトしているのが脚本家の坂元裕二さん、同じく脚本家の宮藤官九郎さんです。おふたりともストーリー作りにおけるシリアスとコメディのバランス感が絶妙。受け取り手に行間を読ませる作りに惚れ惚れします。キャラクター作りもあまりに巧みで、いつも勉強させていただいております。

――作家としての展望、なりたい作家像を教えてください。

久世:たとえ作品が終わった後でも、世界のどこかで生き続けているように感じてもらえるキャラクターを生み出していたいです。そして何年・何十年経った時にふと思い出してまた読み返していただけるような作品を作ることができれば幸せですね。

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