「ショックすぎ」hideのギター製造「フェルナンデス」まさかの破産でSNS悲鳴……日本のモノづくりの象徴も
■hideのギターを作ったフェルナンデスが倒産
埼玉県戸田市に本社を置くギターメーカーの「フェルナンデス」が7月11日までに事業を停止、倒産していたことがわかった。2024年1月期決算時点での負債総額は4億3389万円。倒産の原因は売上高の落ち込みと、他メーカーとの競争の激化などが挙げられている。実際、1999年1月期の年間売上高は40億円台に達していたものの、2022年1月期は売上高1億6608万円まで落ち込んでいた。
今回のニュースを受けて、ネット上では「愛用していただけに悲しい」「初めて買ったギターはフェルナンデスのギターだった」「文化祭ではお世話になりました」「アーティストモデルが憧れだった」などと、思い出を投稿する人が相次いでいる。まさしく、フェルナンデスは国内のギターメーカーの筆頭格だったのである。
手軽に外に持ち出せるギター「ZOー3」のヒットでも有名だが、特に1990年代を過ごしたギターヒーローにとっては憧れのブランドだったはずだ。なにしろ、X JAPANのHIDE(ソロ活動の名義はhide)が愛用していたギターをリリースしていたためである。そう、あの黄色のボディーにハートが描かれたギターだ。このhideモデルはインパクト抜群であり、当時の音楽シーンに強烈なインパクトを与えた。
当時のビジュアル系バンドは、フェルナンデスとESPの愛用者が多かったと記憶している。フェルナンデスの愛用者は国内外に多かったが、ギターキッズたちに認知され、愛されたのは、hideの影響が大きかったのは間違いないはずだ。当時のフェルナンデスのカタログを開くと、アーティストモデルの最初のページにはhideが紹介されていたのである。思えば、2000年前後のフェルナンデスのカタログは分厚く、印刷もデザインも豪華であり、最盛期だったといえるだろう。
■日本のモノづくりの象徴
フェルナンデスは、1980年代はギブソンのコピーモデルを販売していたことでも有名で、90年代には国内外のアマチュアからプロアーティストにまで愛用されたわけだが、これほどの栄華を誇ったメーカーがなぜ倒産してしまったのか。一つには、バンドを組む人、ギターをプレイする人が減少したことが挙げられる。『ぼっち・ざ・ろっく!』などの漫画・アニメのヒットはあるものの、世界的にはラップやダンスミュージックがトレンドであり、ギターの音は代替できる作曲ソフトが世の中には氾濫しているし、多くの人を熱狂するギターヒーローのような次世代スターが出現するまでには至っていないこともあると言えるだろう。
ところで、フェルナンデスは基本的に自社工房を有しないメーカーだったが、日本のギター産業は世界に誇る木工技術の結晶として評価されている。1970~80年代にはギブソンやフェンダーを脅かしたほどで、日本のモノづくりの象徴ともいえるものだ。こうした優れた技術を後世に受け継ぐためには、とにもかくにもギターが売れなければいけない。そのためにはギターヒーローの出現が急務といえそうである。