時には悲劇に繋がることも……『ヒロアカ』の様々な“師弟関係”に注目してみた
コミックスのシリーズ世界累計発行部数1億部を突破した、「週刊少年ジャンプ」の大人気漫画『僕のヒーローアカデミア』。ヒーローを目指す少年・出久(デク)が憧れのNo.1ヒーロー・オールマイトに出会ったことで物語が動き出す同作では、デクとオールマイトを始めとした様々な“師弟関係”が描かれている。そこで今回は、そんな『ヒロアカ』の師弟関係に注目してみよう。
ヒーローとヴィランの両極端な師弟関係
そもそも『ヒロアカ』は総人口の約8割が何らかの超常能力“個性”を持つ世界で、無個性だった主人公・デクがオールマイトから“個性”を継承することで始まる物語。当然オールマイトとデクは師弟関係にあり、デクはオールマイトから強大な力の使い方やヒーローとしての在り方を学んでいくことになる。まさに王道の師弟関係だ。
一方で対照的なのが、オール・フォー・ワンと死柄木弔というヴィラン側の師弟関係。同作のラスボスともいえるオール・フォー・ワンは自身の欲望のためにデクの宿敵・死柄木を利用しており、最終的に自身を「先生」と呼んで慕う死柄木の身体を乗っ取ってしまう。
デクも死柄木も、師匠にあたる人物を慕っていたことは間違いない。しかし正しく力を受け継いだデクと、身体を奪われてしまった死柄木という両極端な結末を辿ることになった。
行き過ぎた師弟関係が悲劇を生むことも……
作中では父と息子であり、同時に師弟というパターンも。爆炎の強力な個性を持つプロヒーロー・エンデヴァーは自身が果たせなかった「オールマイトを超える」という目標を託すために、自身の息子を幼少期から厳しく鍛えていた。しかしその結果、大きな悲劇を生んでしまう。
エンデヴァーは長男である燈矢を自身の後継者として鍛えていたが、燈矢の火に弱い体質や理想の個性を持った弟・焦凍が産まれたことで、燈矢ではなく焦凍に目をかけるように。そんな父の注目を再び得ようと無理をした燈矢は個性を暴走させ、その結果起きた山火事で死亡。しかし実は「荼毘」と名前を変えて生きており、エンデヴァーや焦凍への復讐を企てる。
弟である焦凍も、デクたちと出会う以前はエンデヴァーとの歪んだ師弟関係に苦しめられていた。しかし焦凍はデクを始めとした仲間との成長の中で、エンデヴァーとの関係を徐々に改善。エンデヴァーも自身の間違いを認め、正しい形でヒーローである自分の持てるすべてを焦凍に伝授しようとする。
ヒーローとヴィランの戦いや「ヒーローの在り方」にも関わるエンデヴァーと2人の息子の“師弟関係”は、物語の展開を大きく左右する重要なエピソードだ。