漫画史上、最も熱かった“最終決戦”といえば? 『鬼滅の刃』『うしおととら』などの名作と、『ヒロアカ』への期待

 最終章を迎えたヒーロー漫画『僕のヒーローアカデミア』(ヒロアカ)の最新刊となる37巻が2月3日、発売された。これを記念して「#ヒロアカ最終決戦チャレンジ」というハッシュタグとともに公式のミニゲームが展開されるなど、クライマックスに向けて大きな盛り上がりを見せている。

 “最終決戦”は「バトル」や「試合」を中心に据えた作品においては最大の山場で、その出来で作品全体の評価が決まってしまいかねない重要なエピソードになる。本稿では、漫画史に残る“熱き最終決戦”をピックアップしてみたい。なお、最終決戦は「作品の結末」に直結しやすいため、なるべく具体的なネタバレは含まれないよう注意するが、多くの作品について終盤の展開に触れることをお断りしておく。

 直近の大ヒット作から考えると、『ヒロアカ』と同じく週刊少年ジャンプで連載された『鬼滅の刃』。主人公の竈門炭治郎と、鬼を束ねる鬼舞辻無惨の最終決戦は、読者まで息苦しくなるような壮絶なものだった。「努力・友情・勝利」とは、“ジャンプ作品の3大要素”として語られることが多い言葉だが、炭治郎の驚くべき努力もさることながら、家族や仲間との絆、友情がそのまま戦いに反映されるような、まさに熱い最終決戦だったと言える。

 同様にジャンプ作品で記憶に残るものとして、名エピソードが多い『ジョジョの奇妙な冒険』から、第3部(スターダストクルセイダース)の最終決戦を挙げたい。「スタンド」という能力が導入され、多くの出会いと別れが描かれた第3部。空条承太郎と、漫画史上に燦然と輝くダークヒーロー・ディオの最終決戦は、ストーリーの展開としても、また能力バトルとしても圧倒的で、「てめーはおれを怒らせた」の名台詞とともに熱く、どこか切ない結末を迎えた。

 “熱い”といえば、藤田和日郎による名作『うしおととら』も忘れられない。霊槍・獣の槍を操る蒼月 潮(うしお)と、その槍に封じられていた大妖怪・とらの名コンビが、悲しみを背負った邪悪の化身「白面の者」に挑んだ最終決戦。日本全体を巻き込んだ総力戦となり、多くの犠牲を伴う凄絶なものとなった。そのなかで強調された、タイトルにある一人の少年と大妖怪の不思議な友情が胸を熱くさせる。

 青年向けの作品で、人間と人外の存在が“共闘”した最終決戦として高い熱量を放っていたのは『寄生獣』。ごく普通の高校生だった泉新一と、その右腕に寄生した地球外生命体の“ミギー”。決戦の相手は5体ものパラサイトが融合した「後藤」だ。「この種(人間)を食い殺せ」という、寄生生物としての本能に突き動かされる後藤を単純に「悪」と断じることはできず、人間の業についても考えさせられる、熱くも悲しい最終決戦だった。

 スポーツ漫画であれば、映画が大ヒットを続けている『SLAM DUNK』の湘北高校対山王工業戦は、誰もが認める熱い試合だっただろう。インターハイの途中経過的な試合ではあり、「最終決戦」というのは違和感もあるかもしれないが、本作でしっかり描かれた最後の一戦となるこの試合は、物語の全てが集約されたような熱さがあった。続きも描いてほしかった、というファンの思いもあるが、結果として尻すぼみにならず、最高潮のまま幕を閉じる形になった。

 みなさんが思う「最終決戦が最も熱かった漫画」は果たしてどの作品だろうか。『ヒロアカ』の最終決戦も、それに匹敵するエピソードになることに期待したい。

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