『みずぽろ』191cmの転校生は超絶運動オンチ? 「水球」がテーマの大型青春学園コメディが面白い
「週刊少年サンデー」での連載開始当初から話題を集め、2024年5月17日に待望の第1巻が発売された『みずぽろ』(原作:一色美穂/作画:水口尚樹)。水球をテーマにした本作では、竜ノ尾高校に転校してきた1年生の2人、信濃千曲(しなのちくま)と山城桂(やましろかつら)の掛け合いを軸にストーリーが描かれていく。
大型転校生2人のコントラストが刺さる
GW明けという中途半端な時期に転校してきた信濃は身長185cm、元バレーボール部で運動神経も良く顔立ちも中々に整っており、長野出身である。
本来ならばそこそこチヤホヤされてもおかしくないだけのスペックを備える信濃だが、運の悪いことに同日に転校生その2として現れたのが身長191cmの色黒で筋骨隆々、美術部所属といわれてもなんら違和感を持たない程には絵が得意という見た目とのギャップも併せ持ち、オマケに京都出身のネイティブ関西弁使いの山城だった。
クラスメート達の信濃の印象は当然のように薄くなり、否が応にも注目を集める山城に嫉妬心を抱いてしまう始末。そんな信濃の思いとは裏腹に、山城は「水球部行かへん?」と気軽に信濃を誘うのだった。
185cm✕191cmの生み出す化学反応
水中の格闘技と呼ばれ、1試合に泳ぐ距離は2000mを超えるとも言われる過酷なスポーツである水球の見学に訪れた際、試しに入った水深2m以上のプールに静かに沈んでいく山城の巨体に周囲は騒然。そう、スポーツ万能そうな見た目に反して彼は超絶運動オンチだったのだ。そもそも泳げないのに水球部を選択するという鋼のメンタルは大器晩成の片鱗を感じさせてくれる気がしないでもない。
購入した水球ボールのことを「彼女」と呼んだり、チームメイト達が厳しい練習をこなす中1人バタ足練習などゆるめの基礎練習をこなした後に完全にやりきった表情で堂々とスポーツドリンクを一気飲みする山城の姿は最早大物としての風格すら漂う。
スペック的には山城よりもっと注目されていいはずの信濃が完全にツッコミ役になってしまうことも致し方ないだろう。
ただ、山城のお陰でかなり中和されている感はあるが信濃も信濃でナルシストの気があり中々に癖のある性格だ。さらには145cmと小柄ながら水球の腕前は1級品の紅一点、田沢るく、フランス留学生のエビアン先輩、夜型人間で午後2時まで全然起きないで大事な試合を寝過ごしてしまうこともしばしばの霞ヶ浦先輩など気になるキャラクターも多数登場する。今後作中で信濃、山城コンビとどう絡んでくるのか注目したい。