ブーム牽引も……「声優アニメディア」まさかの休刊 声優雑誌を買わなくなった最大の理由をファンに聞く
■アニメ・声優業界は盛り上がっているのでは?
2004年に創刊された声優情報誌「声優アニメディア」(イード/編集・発行、Gakken/発売)が、6月10日発売の「声優アニメディア 夏号」をもって休刊し、20年の歴史に幕を下ろす。同誌の公式Xが5月27日に更新され、明らかになった。同誌はアニメ雑誌の「アニメディア」の別冊を経て創刊。隔月刊ののちに月刊化されていたが、2023年9月には季刊誌に変更となっていた。
突然の発表にネットの声優ファン、アニメファンは動揺し、「残念です」「まさか休刊とは」と言った具合に、様々なコメントが書き込まれた。現在、アニメ雑誌は全体的に勢いがなくなっているといわれる。一方、筆者からすれば、声優ファンはグラビアやインタビュー、写真などを目当てに買い求めるファンがいそうなイメージなのだが、ファンの嗜好が変化してきたのかもしれない。
声優雑誌の部数が振るわなくなった理由は、どこにあるのか。ファンは雑誌とどう向き合っているのだろうか。筆者の後輩で、『ラブライブ!』シリーズが大好きな23歳のアニメファンはこのように語る。
「声優の写真集を買う人はよく見ますが、雑誌は正直、うーん……って感じですね。今は“声優ラジオ”が増えているので、それを聞いて情報を得る人が多い気がします。ラジオとかだと作業しながらでも聞けますし、自分もよく聞いています。わざわざ雑誌を買って読むよりも、ラジオだったり、ネットのインタビューレポみたいもので声優の情報を集めるのが主体になってきているのだと思いますよ」
また、取材先で知り合った29歳のアニメファン(好きなアニメは京都アニメーションの作品)は、「声優雑誌は正直旨味が少ない」と話す。声優雑誌を買うなら、推しの声優の写真集に数千円のお金をつぎ込みたいのだそうだ。
「声優の写真集は売れていると思いますよ。というのも、握手会やお渡し会、サイン会に参加できるなどの特典がつくからで、一人で何冊も買う人がザラにいますから。声優雑誌が売れないのは、そういった特典がつかないからだと思います。要は旨みがないし、好きでもない声優にページが割かれているのは、ぶっちゃけコスパが悪いと思います(笑)」
こうした意見からもわかるように、アニメファンは声優雑誌に魅力を感じていないようだ。情報源はネットやラジオがあるし、より推しの声優の良い写真が見れて、さらに特典付きで実際に会って会話ができるなら写真集の方が遥かに魅力的だ。様々な面で雑誌が中途半端な存在になってしまっているのである。
声優ファンのお金の使い道も様変わりした。おそらく、昨今は実際に声優と会える「コンサート」や「握手会」などの体験、そして推し活に必要な「グッズ」に関心が移ってしまっている。雑誌は推し活に必要な存在ではなくなってしまった、ということかもしれない。しかし、時代の変化とはいえ、2000年以降の声優ブームを牽引した雑誌がなくなるのは寂しいものである。