アニメ『怪獣8号』原作から何が変わった? “怪獣のいる世界”を視聴者に信じさせる仕掛けの数々

photo/hezh(unsplash)

■原作とアニメどこが変わったのか?

  累計発行部数1,300万部を超える大ヒットマンガ『怪獣8号』が、ついにTVアニメ化。4月13日からテレビ東京系ほかで放送が始まり、国内外で大きな反響を呼んでいるようだ。

  人気作のアニメ化は何かと評価が厳しくなりがちだが、同作に関しては、かなり好調なスタートダッシュを切っているように見える。その理由としては、原作ファンと初見の視聴者を両方楽しませる絶妙なアニオリ要素の追加が挙げられるだろう。

 『怪獣8号』は、2020年7月より『少年ジャンプ+』で連載されている松本直也のSFバトルマンガ。人々の生活を脅かす怪獣と「日本防衛隊」が日夜戦いを繰り広げている世界を舞台に、ある日突然“怪獣化”の力を得た主人公・日比野カフカの活躍を描いたストーリーとなっている。

  第1話で描かれたのは、横浜に現れた怪獣が「日本防衛隊」によって討伐され、怪獣専門清掃業で働くカフカがその後始末を行うところから始まるエピソードで、大筋はほとんど原作から変わっていない。しかし世界観の描写には、いろいろと見るべきところがあった。

  原作では冒頭1ページの時点で怪獣が討伐されるのだが、アニメ版では怪獣が街に上陸してから防衛隊が出撃するまでの描写が大量に追加されていた。「緊急怪獣警報」が発令された後、市民たちが「緊急地下避難所」と書かれたシェルターに向けて避難誘導されていき、怪獣災害対応の専用道路を通って車両がやってくる……。さまざまな描写によって、日常的に怪獣が襲来してくる社会であることが表現されていたのだ。

  とくに秀逸だったのは、避難誘導中のカットで登場した特殊な信号機のデザイン。青・黄・赤の横に怪獣マークがついたもう1つの赤信号が付いており、怪獣の襲来時に点灯する仕組みになっているようだった。

  さらにある種の“平和ボケ”的な描写として、テレビ局のディレクターらしき人物が、被害状況をカメラに収めるため、こなれた様子でカメラマンに指示を飛ばすシーンなども登場。またテレビ中継でどこか他人事のように怪獣討伐を応援する人々や、防衛隊のメンバーをアイドルのように推す人々の姿なども映し出されていた。

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