漫画「GANTZ」作者の奥浩哉、原画を販売できない理由を告白「生原稿には固定資産税がかけられる」

奥浩哉、原画を販売できない理由を告白

 4月5日、『GANTZ』『いぬやしき』などの名作で知られる漫画家の奥浩哉がXを更新。「ボツ原稿や落書きは売れますが、生原稿は売れません」とポストし、現在約6500件のリポスト、約1万8000件のいいねがつくほど、バズりまくっている。

 奥は最近、ネットオークションでファン垂涎の直筆のスケッチなどを販売。30万円、40万円台で落札されており、中には50万円を超えたスケッチまである。驚きなのはボツ原稿で、なんと140万1000円で落札されたものも。

  デジタルや生成AIの普及に伴い、漫画家の生原稿などの直筆物に注目が集まっている。そうした背景もあってか、人気漫画家の直筆となれば、美術品に匹敵するほどの価格がつくことは珍しくなくなった。

  しかし、ボツ原稿は出品できても、なぜ生原稿(つまりは完成原稿)はダメなのか。その理由を、奥はこう語っている。

 「何故なら生原稿を一枚売って高値が付いたりすると、税務署に目をつけられてウチにある原稿全部にその値段で固定資産税をかけられるからです。だから、生原稿は売れません」とのことである。

 「固定資産税は僕が類推したもので、種類は間違いかもしれません」「実際に漫画家先生にオークションで一枚売って高額になった別の先生が所有してる原稿全部に高額な税金をかけられたから困っているという話しをお聞きしました」と打ち明けた。

   実際、原稿の固定資産税の問題は、特に生原稿が当たり前だったベテランの漫画家の間でも議論になっていると聞く。漫画家の死後、残された遺族が原稿を管理しようとすれば、相続税がかけられる可能性もあるのだ。そうなると生原稿を手放すしかなくなり、貴重な生原稿が散逸してしまう可能性も指摘されている。

  漫画家の原稿を貴重な文化財とみる動きも強まっており、各地にその原画の保存施設の整備が進んでいる。しかし、まだ歴史としては浅い分野のため、生原稿を美術品として扱うのかどうか、評価が定まっていない現状がある。

  レジェンド級の漫画家が相次いで亡くなっている現在、生原稿の行く末は誰もが気になってしまう。もしかすると大御所であれば記念館などが建設され、そこで管理される可能性もあるが、多くの漫画家の場合はそう簡単にはいかないだろう。生原稿を後世に伝えていくためにどうするべきなのか。議論が進められる必要があるだろう。

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