NHKのWebサイト配信停止 民放では「テレ東BIZ」など質の高いサービス続々 ニュースメディアの勢力図は?
特にWebでのコンテンツ配信に貪欲な印象があるのが、テレビ東京である。経済ニュースに強いという特性を活かした「テレ東BIZ」では番組未公開シーンやインタビュー映像など独自コンテンツを大量に配信。一ヶ月当たり550円で見放題という価格設定である。
またテレビ東京は「テレ東ファン支局」というオンラインコミュニティを運営。視聴者とコミュニティスタッフ、制作現場スタッフが交流することができる会員制サイト(登録は無料)となっており、こちらでも番組制作者やプロデューサーによる裏話やアナウンサーのリレー日記などを配信している。意図的かつ貪欲にWebを介したファンの囲い込みを行っているのだ。
もちろん民放であるテレビ東京と、公共放送であるNHKによる事業内容を直接比較することは無理がある。今回のWeb独自コンテンツの発信停止に関しても、公共放送であるからこそ発生したものだろう。しかし一方で、NHKによるWeb事業を民業圧迫であるとして、新聞社や民放が撤退を迫ったという報道もある。確かに自社でニュースサイトを運営している民放からすれば、知名度の高い公共放送によるWeb事業はシェアを食い合うライバルに映るだろう。また今回更新が停止されたNHKの各種Webサイトは、国際ニュース、スポーツ、カルチャーなどジャンルによって細かく分かれており、例えばテレ東のように経済報道に特化しても、経済ジャンルの「サクサク経済Q&A」が同ジャンルとしてぶつかってくる……というような面もある。「民業圧迫」とされたのも、わからないではない。(参考:NHKネット配信解禁 反発する民間メディアの“歯切れ”の悪さ / ITmedia)
しかし、大量にスマホが出回りWebに接続しないまま生活するのがほぼ不可能な現在において、NHKだけ独自コンテンツの配信ができないというのも、また非現実的であるように思う。ましてや、受信料を元手に高い取材力を持つNHKならば、それをテレビ放送と紐づけてしか発揮できないというのは本末転倒。国民の利益とは……という話である。「番組関連情報」については最終的にどうまとまるか、まだわからない点もある。願わくばWeb独自のコンテンツという特性を活かし、充実した報道が読めるようにしてほしいと祈るばかりである。