NHKのWebサイト配信停止 民放では「テレ東BIZ」など質の高いサービス続々 ニュースメディアの勢力図は?

NHKのWebサイト配信停止を考える

 3月29日、NHKはインターネット上で展開されていた6サイトの更新を停止した。放送法の改正が理由だとされる。

 今回更新が停止されたのは、「NHK政治マガジン」「NHK事件記者取材note」「NHK国際ニュースナビ」「サクサク経済Q&A」「サイカルジャーナル」「アスリート×ことば」の6サイト。今後は「NHK NEWS WEB」に統合されることになっている。

 更新停止の理由が、NHKのネット業務が放送と同等の「必須業務」へと格上げされたことだ。この格上げを定めた改正放送法案が今国会で成立すれば、ネット業務は2025年春以降に必須化される見通し。放送番組の同時・見逃し配信や、文字ニュースなどの番組関連情報の配信が、NHKのサービスとして義務づけられる。

 これらの必須化される要素のうち、「番組関連情報」については、法律内で「放送番組と密接な関連があり、番組の編集上必要な資料」と法案内で定義されている。つまり、テレビ放送された番組と関連が薄いコンテンツやネット独自のコンテンツについては、配信ができなくなってしまうのである。今回の更新停止はそれを受けてのもの、ということになる。もっとも「番組関連情報」の具体的な内容については、今後NHKが原案を作り、第三者機関が民間メディアとの競争を妨げるか否かを評価して決定するという。

 NHKの取材力が高いことはよく知られている。周辺コンテンツに関してもそれは同様で、各種の外部サイトでも取材能力や構成力に関してNHKならではの強い馬力を感じる記事が多かった。また、「永田町・霞ヶ関のサラめし」のような硬軟のバランスがとれた記事も多かったし、「NHK事件記者取材note」では時事ネタについて深く突っ込んだ読ませる記事もあった。

 これらの記事が更新されなくなることは、Webを中心にニュースを読む人にとってはそれなりに影響があるのではないだろうか。昨今はテレビ以外にもニュースを得るための情報源は増えており、Webを介した文字情報として、自分の好きなタイミングでニュースに触れている人も多い。また、動画コンテンツは好き嫌いが別れるため、突っ込んだ情報を文字のみで追うことのできるNHKの各種Webサイトは、あくまでテキストベースでニュースを見たい人々の受け皿となっていた側面がある。

 一方で、民放ではWebを介した独自コンテンツの配信やファンの囲い込みは近年重要視されている。各局が独自にニュースサイトを運営しているのはもちろんのこと、各種サービスを介して現場のスタッフたちの声を発信したり、noteに深掘りしたニュース記事を配信したりと、Web独自のコンテンツを作るのはテレビ局にとってスタンダードな業務となっている。

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