春アニメ『怪獣8号』に高まる期待ーーパニック映画さながらの“臨場感”と“絶望感”はどう映像化される?

 漫画アプリ「少年ジャンプ+」で連載中の『怪獣8号』は、怪獣が人々の世界を脅かす世界で日本防衛隊と怪獣の闘いを描いた物語だ。主人公は、日本防衛隊を目指す32歳の日比野カフカ。いつしかその夢を諦め怪獣専門清掃業者として働いていたが、同じく入隊を志す市川レノと出会ったことで再び試験に挑戦することを誓う。ジャンプ作品には珍しいミドルエイジの主人公を据えたことでも話題になり、現在では累計発行部数1,200万部(デジタル版含む)を超える大人気コミックに。

 その人気は勢いを増し、4月13日よりついに本作のアニメ放送がスタート。映像化にあたって最も期待が膨らむのは、怪獣をテーマにした作品ならではの”絶望感”と“臨場感”だ。

アニメ『怪獣8号』メインPV/2024年4月放送・配信開始

怪獣から感じる圧倒的な”絶望感”

 ダークなフォルムに不気味なビジュアル。人々を恐怖に陥れる怪獣のデザインからは、『仮面ライダー』や『ウルトラマン』など特撮モノに影響を受けたとされる松本直也先生のこだわりを感じる。不気味さを放つ怪獣の襲撃は、まるでパニック映画を観ているかのような絶望感を覚えずにはいられない。

 その感情が湧く最も大きな理由は、怪獣がいわゆる「敵」や「悪役」としてはもちろん、一種の「災害」として描かれているところにある。本獣を討伐しても、それに付随する余獣に畏怖する……それはまさに本震、余震を繰り返す「地震」を彷彿とさせるのだ。このメタファーは、特撮映画『ゴジラ』をリスペクトしたものだと考えられる。

 本作の怪獣は、いつも突如としてやってきて、日常を破壊していく。読者は災害としてその恐ろしさをすでに知っているからこそ、本作の怪獣にも得も言われぬ恐怖を感じてしまうのではないだろうか。

息をのむほどの“臨場感”を体感

 アニメ化にあたり、『功殻機動隊』『天国大魔境』などSF作品を得意とするProduction I.G、そして『ヱヴァンゲリヲン新劇場版』で知られるスタジオカラーが初タッグ。それぞれアニメーション制作、怪獣デザイン&ワークスを手掛ける。

 PVは第4弾まで公開され、倒壊した街が醸し出す戦々恐々とした空気感、怪獣の未知なる恐怖により、本作のダークな部分がより洗練されたものとなっている。そして、人々の救いになりえる「怪獣8号」も登場するが、黒い筋肉と青白く光るラインを纏った体躯、本獣をもたやすく滅する人智を超えたパワーからは、どこか物恐ろしい雰囲気が。彼もまた怪獣でしかないのだという事実を突きつけられ、希望と絶望が混在しているのが印象的だ。

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