『成恵の世界』丸川トモヒロが虚血性心疾患で死去、連載漫画家の健康問題への関心高まる
1990年代後半〜2010年代にかけて活躍した漫画家であり、『成恵の世界』『魔砲少女四号ちゃん』などの代表作をもつ丸川トモヒロ氏が、1月25日、虚血性心疾患のため死去していたことが分かった。53歳という若さだった。2月9日、丸川氏が連載を持っていた「少年エース」の公式Xで訃報が伝えられた。
【丸川トモヒロ先生 ご逝去のお報せ】
「成恵の世界」「魔砲少女四号ちゃん」の作者・丸川トモヒロ先生が、2024年1月25日に虚血性心疾患のため、ご逝去されました。
心温まる物語を描き続けていただいた丸川トモヒロ先生に感謝を表しますとともに、心よりご冥福をお祈り申し上げます。2024年2月9日… pic.twitter.com/T0qioDdTHc
— 少年エース (@shonen_Ace) February 9, 2024
公式Xのポストによると、「本誌で活躍されていた漫画家の丸川トモヒロ先生が、去る2024年1月25日に虚血性心疾患により永眠されました。享年53歳でした」「『少年エース』にて『成恵の世界』、『ヤングエース』にて『魔砲少女四号ちゃん』を連載された後、新作を構想中でした」と発表があった。
あまりに早すぎる死去と突然の訃報に、ファンの間でも「非常に残念」「『少年エース』は『成恵の世界』を読むために買っていた」「かわいらしいキャラに癒されました」などの声が上がっている。実際、代表作の『成恵の世界』は「少年エース」に1999年6月号から2013年2月号まで連載され、同誌の看板作品の一つであった。
令和に入ってから、大御所から若手まで漫画家の訃報が相次いでいる。昨年の6月25日には、成人向け漫画家の三条友美氏が虚血性心不全で亡くなっているし、10月12日には『花ざかりの君たちへ』で知られる漫画家の中条比紗也氏が心臓の病気のため50歳という若さで死去している。
漫画家は激務であるが、丸川氏も連載中に体調を崩すことが多く、『成恵の世界』も健康上の事情を理由に休載になることが少なくなかった。その間に2002年にはラジオドラマ化、2003年にテレビアニメ化もされている。アニメでは主人公の七瀬成恵役を、ネット上でも大人気だった声優・能登麻美子が演じた。
そして、『成恵の世界』はそうした休載を挟みつつも足掛け14年近い長期連載となり、完結を迎えている。2014年には、第45回星雲賞コミック部門を受賞した。続く連載作品『魔砲少女四号ちゃん』は『成恵の世界』のスピオンオフ作品であり、前作同様に好評を博した。
公式Xは最後に、「心温まる物語を描き続けていただいた丸川トモヒロ先生に感謝を捧げるとともに、その早すぎる逝去を悼み、心よりご冥福をお祈り申し上げます」と結び、業績を讃えている。
なお、近年は漫画家の健康面に配慮し、出版社も読者も休載に対して寛容になりつつある。休載を認めず、スパルタ的な雰囲気があった数十年前とは漫画雑誌の方針も変わってきている。漫画家の方々はぜひとも健康を意識したうえで、無理のないスケジュールで連載を継続していただきたいものだ。