『ジャンケットバンク』はギャンブラーだけの物語じゃない! 苛烈な銀行員たちのドラマに迫る

『ジャンケットバンク』物語を支える銀行員たちのドラマ

 2020年7月より「週刊ヤングジャンプ」で連載中の『ジャンケットバンク』。銀行を舞台とした異色のギャンブル漫画であり、ゲームのオリジナル性や斬新な展開で人気を広げている。アニメ化への期待も高まるなかで、1月12日より池袋ナンジャタウンにてコラボイベントが行われて大きな盛り上がりを見せている。

 本作で話の中心となるのは個性派なギャンブラーたちだが、ゲームを支える「銀行員」たちを忘れてはならない。彼らの存在があってこそ、「カラス銀行」は巨大な賭場へと発展しているのだ。御手洗暉(みたらい・あきら)を始めとする職員たちは、プレイヤーとは異なった争いを裏で繰り広げ、火花を散らしている。今回は彼らの目線で、物語の魅力を紐解いていこう。

賭場を展開するカラス銀行と、御手洗が異動した「特四」

 物語の舞台であり、日本国内で3位の規模を誇る市中銀行・カラス銀行。表向きはごくごく普通の市銀だが、裏では巨大な賭場を開いており、実はそちらが本業である。御手洗は当初、表の商売である銀行の窓口担当をしていた。

 賭場に関する仕事は全て「特別業務部」が担当する。あくまで会社のメイン業務は賭博の方なので、特別課に配属される人間の数は多い。実際に債権管理課、営業課など部署が細やかに分かれていて、賭場のための組織だということがよくわかる。

 御手洗が異動を命じられた特別業務部審査課、通称「特四」(トクヨン)。ギャンブラーのマネージメントやゲームの開催など、ギャンブル関係におけることはほとんどこちらが担当している。そして、特四で生き残るためには「キャリア」(勤続年数)を稼ぎ続けなければいけない。

 カラス銀行のキャリアとはただ長く勤めればいいのではなく、通貨のように扱われる。何をするにしてもこの通貨が必要になるため、配属された人間は担当ギャンブラーと別の班を戦わせることでキャリアを稼いでいく。数字を伸ばすためにはありとあらゆる手法を取ることが可能で、他の職員へ「情報をあげるからキャリア〇〇年分で買わない?」なんて交渉を持ちかけるのもよくある話。軸となるルールを大きく逸脱しなければ何でもありだということだ。

 全てを購入できるため、キャリアさえ手に入れば若者でも頂点を目指せるし、買った権利で好き放題することも可能。反対にうまく稼げず、手持ちがマイナスになればあっという間に地下オークションと呼ばれる収容所送り。会社員と言えど安定感が全くない、0か100かの極端な部署である。

 キャリアは1日ずつ消費され、新人は1年分の特別融資を強制的に受けさせられる最悪のオマケつき。ただボーっとしているだけの人材は不要という、弱肉強食なカラス銀行の考えが反映された厳しいルールと言えよう。特四に所属する行員たちは常にお尻に火がついた状態であり、生き残っている面々はギャンブラーたちに劣らず、個性的だ。

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