漫画家にとって編集者は必要? 生成AIの台頭やボロクソ問題……作品を二人三脚で生む時代は終わるのか?

  漫画家と編集者の関係は、XなどのSNSでよく話題になる。漫画家によっても考え方は様々で、編集者を重視する人もいれば、編集者なんて不要だと考える人もいる。編集者に自由に描かせてもらった経験をもつ人もいれば、修正を入れられ、時には喧嘩をしながら漫画を描いてきたという人もいる。本当に人それぞれ事情が異なる。

  最近では、編集者不要論を唱える漫画家も少なくない。X上では、編集者からの辛い体験を暴露するポストがたびたび話題になる。こうした空気を読んでなのか、漫画家に自由に描かせる編集者は近年増えているという。

  確かに、かつては武勇伝のように語られた、原稿を破り捨てた、ばらまいたなどの編集者のエピソードは、今ならパワハラの観点からも問題視されるし、Xですぐに暴露される可能性もあるだろう。また、生成AIの台頭や漫画生成のソフトも進化をしており、漫画家からしてみれば、編集者のアドバイスもいらないと思うこともあるようだ。

  ところで、編集者は権力を持っているようでいて、それほど力は強くない。知人の漫画編集者に話を聞いてみるとこう答えた。

 「編集者といえども出版社に勤めている間は、サラリーマンです。編集者がXを宣伝のために使っていることはありますが、フリーランスの漫画家に強く出られると、会社を通さずに反論することは難しくなる。「いつ漫画家からXで批判されるか」とハラハラしながら仕事をしている人も実際は多いと思います」

 さらに特にデビュー前の新人は編集者とのやり取りを逐次ネットで報告する人も多いようで、「言葉には一層気を使う」と言う。

  漫画家に自由に描かせる編集者は、新興の出版社やIT系の企業に多い。漫画家としては自由に描けることにありがたいと感じるかもしれないし、そういった編集者は一見、いい人と思われがちだ。しかし、筆者はその姿勢が、果たして漫画家のことを大切にしているのか、疑問を感じることもある。

  漫画家志望者は非常に多いため、Xなどで呼びかければ簡単に見つかる。そのため、手当たり次第に声をかけてとにかく描かせる、という手法をとる人はいる。そうした編集者は、漫画家思いのようでいて、「数打てば当たる」という考えの持ち主も少なくない。確かに玉を打ち続けていれば、たまにヒットになることもあるし、バズるものも出てくるのである。

  しかし、二人三脚で作品を創るようなパートナーではないため、ヒットが出なければ、あっさりと漫画家を切り捨ててしまう冷淡さを併せ持っている。

 「上手いね」「いいね」と言われて嬉しくない人はいないだろう。だが、褒めることは誰だってできるし、むしろ、問題点を指摘する方が難しい。漫画家と二人三脚で作品を作る編集者、自由に描かせる編集者、どちらが作家思いだろうか。もちろん、編集者の性格も多様なので一概には言えないのだが、新人はどちらの方が自分にメリットがあるか、じっくり考えてみてもいいのではないだろうか。

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