浦沢直樹「漫画は顔が命!」 『あさドラ!』浅田アサをモデルに“表情”の描き分け方を実演

浦沢直樹が実演「顔の描き方」

 漫画家の浦沢直樹氏が2023年12月27日、公式YouTubeチャンネル「浦沢チャンネル -URASAWA CHANNEL-」を更新。『あさドラ!』第8集発売を記念した動画『「漫画は顔が命」漫画における表情とは?』を公開し、主人公・浅田アサの4つの表情を描き分けて見せた。

「漫画は顔が命」漫画における表情とは?

 「浦沢チャンネル -URASAWA CHANNEL-」は2021年4月、「『漫画』を起点にした様々な動画を発信する」として開設された。動画の公開本数は決して多くないが、主に新刊の発売、デジタル配信開始のタイミングに合わせて、『MONSTER』Dr.テンマをモチーフにスクリーントーンの貼り方を解説したり、『MASTERキートン』風のコマ割りを自ら描画して見せたりと、漫画ファン垂涎のコンテンツを提供してきた。漫画の描き方を解説するYouTubeチャンネルは多く存在するが、これほど実績のある“講師”は他にいない。

 浦沢氏は動画の冒頭、浅田アサは自身の作品史上もっとも表情で演技をする主人公だとしつつ、「編集さんは新人作家に『“顔漫画”は描くな』と言う」と説明。表情だけでなく、話の展開に合わせてきちんと背景を描き込むなどして、シチュエーションをわかりやすくしなければならない、という意味合いだそうだが、浦沢氏は「漫画は顔が命」と言い切る。「どれだけ素晴らしい表情で顔を描けるかどうかということが、漫画家としてかなり肝になってくると思う」と語った。

 詳しくは動画を確認していただきたいところだが、浦沢氏は完全即興でペンを走らせ、シチュエーションごとにアサの表情を描き分けていく。例えば、親友のヨネちゃんが「今度、水着のモデルの仕事がきたんだけど……」と相談してきたら、アサはどんな表情をするか。浦沢氏が描くアサは、「あまり小さいビキニは考えたほうがええね」というセリフとともに、警戒心を表に出したしかめっ面に近い表情を見せた。

 同様に、ヨネちゃんが「ものすごいおいしいマロングラッセもらったの!!」と言えば、アサは「それはウイロウよりおいしいんかね」と、目を見開いて興味津々の表情。キャラクターを活かしながら、感情が伝わる大きめな演技をさせていることがわかる。

 浦沢氏はアサの表情を描く上でのポイントとして、「いろんな表情をするんだけれど、ぎりぎりブスくならず、かわいいというのがすごく重要」であり、その上で、伝えるべきことをきちんと伝える演技ができるかが焦点になるとした。ひいては、「私たち漫画家自身の中に、そういう表現があるかどうか」が大切だとして、「漫画家を志すみなさんは、映画やドラマを観て、役者さんがどういう演技をして、どういう目線の配り方をして……ということを研究するのがちょっと大事かもしれませんね」とまとめた。

 贅沢な実演とともに、漫画における「表情」の描き方が伝えられた今回の動画。昨年で漫画家デビュー40周年を迎え、さらに勢いに乗るレジェンド・浦沢直樹が2024年、YouTubeでどんな発信をしてくれるのか、注目しよう。

■参考動画:https://www.youtube.com/watch?v=qBjv-0sR3k0

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