2023年、漫画界はどうだった? ラブコメから鬼才の作品まで……長期連載の完結ラッシュが続々

鬼才たちの連載にも一区切り

 『惡の華』などのヒット作で知られる人気漫画家・押見修造は、今年2つの連載を完結させた。1つは『ビッグコミックスペリオール』で連載していた“毒親”テーマのサイコサスペンス『血の轍』、もう1つは思春期の性を題材とした『別冊少年マガジン』の『おかえりアリス』だ。

とくに『血の轍』は2017年から続いていた長期連載。ヨーロッパ最大規模のコミックイベント「アングレーム国際漫画祭」で「連続作品賞」に輝くなど、読者から高く評価されており、今後の映像化にも期待されている。

 鬼才という括りなら、『別冊少年チャンピオン』や『マンガクロス』で連載されていた阿部共実の実験的日常漫画『潮が舞い子が舞い』が物語の幕を閉じたことも、言及せずにはいられない。

ほかにはヤマザキマリ+とり・みきの『プリニウス』、松本大洋の『東京ヒゴロ』、CLAMPの『カードキャプターさくら クリアカード編』なども、今年終了した個性派作家たちの長期連載だ。

 そのほか少年漫画でも、『週刊少年マガジン』では大暮維人×西尾維新の夢のコラボレーションが話題となった『化物語』が3月に終了。『少年ジャンプ+』では、SNS上で大きな盛り上がりを見せた住吉九の異世界経済バトルマンガ『ハイパーインフレーション』が3月に完結している。

 他方で女性同士の恋や友情などの関係性を描く百合漫画の界隈でも、志村貴子の『おとなになっても』やアキリの『ヴァンピアーズ』などの傑作が、ここ1年で完結を迎えた。

 まだ終わっていないものの、『週刊少年サンデー』のコトヤマ『よふかしのうた』、『となりのヤングジャンプ』の迫稔雄『バトゥーキ』なども、すでに連載終了時期が予告されているため、完結ラッシュに含めてもいいかもしれない。

 いずれにしても、こうして振り返ってみると、2023年にさまざまな話題作が完結を迎えたことが分かるだろう。当然だが、ここで取り上げられなかった作品も多数存在する。

 ともあれ1つの作品が終わるということは、また新たな作品が始まることを意味している。2024年には各ジャンルで新たな波がやってくるかもしれないので、それぞれの作家たちの新作を楽しみに待とう。

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