『呪術廻戦』『ヒロアカ』2024年中に完結か? 人気漫画の作者が公言するようになった理由を考察
現在の「週刊少年ジャンプ」の人気を牽引する『ヒロアカ』こと『僕のヒーローアカデミア』と『呪術廻戦』も、2024年中に完結することが明らかになった。12月16日、千葉の幕張メッセで行われているジャンプフェスタで、それぞれの漫画の作者である堀越耕平、芥見下々が寄せたメッセージで明言されていたもの。会場を訪れたファンの間では驚きの声が上がり、XなどのSNSも大いに盛り上がった。
人気漫画が完結時期を明言するようになった点に、時代の変化を感じずにいられない。かつて「ジャンプ」の漫画といえば、『ドラゴンボール』がわかりやすい例だが、人気があればあるほど連載が続行されるというイメージであった。とにかく子どもたちは一秒でも早く漫画の続きが読みたかったし、読み終えたらもう来週が楽しみになってしまうものだった。願わくは、好きな漫画は永遠に続いてほしい、そんな感じだった。
ところが、最近は以前ほど漫画誌を買ってリアルタイムで漫画を読む層が少なくなり、単行本にまとまってから読む形式が主流になった。そのため、かつてのように物語の完結を延ばすのではなく、キリのいいところで完結させる手法が積極的にとられるようになった。近年の「ジャンプ」では『鬼滅の刃』がこの手法で大団円を迎え、話題になった。『ONE PIECE』も、尾田栄一郎がもう少しで完結すると明言している。
未完の建築とされたガウディの「サグラダ・ファミリア」ですら完成時期がはっきりしてきたというのに、世の中には未来永劫完結しないのではないか、とささやかれる漫画は多数ある。タイトルは敢えてここでは述べないことにする。このように読者をやきもきさせるのではなく、完結時期を明言することで、読者の心理的な安心感を得ようという出版社側の作戦があるものと思われる。
出版社は、単行本の巻数は出ないものの、そのぶんメディアミックスで稼ぐというやり方が主流になっている。大場つぐみと小畑健の漫画『バクマン。』の後半でもネタにされているが、物語が完結すればかえってアニメの制作がしやすいメリットがある。完結のタイミングがわかれば、読者も安心してコミックスの購入計画が立てやすくなる。
さて、『僕のヒーローアカデミア』と『呪術廻戦』、ともにメガヒット作なだけにどのような最終回を迎えるのか、今から気になって仕方がない。1990年代であれば、完結時期を明言してしまうと読者がガッカリするケースの方が多かったかもしれない。しかし、現代ではそれがかえって肯定的で、前向きに受け入れられる一面もありそうだ。