『こち亀』名物「本日の被害」コーナー、両津がこれまでに壊した最も高額な被害を検証
『こちら葛飾区亀有公園前派出所』の見どころの1つに、両津勘吉がさまざまな物を壊すという描写がある。アニメ版では番組の最後に「本日の被害」コーナーがあり、そこで物語で壊した物の数々が紹介されていた。
そんな両津が壊したものは数多いが、そのなかにはかなり高額と思われる物も。そこで今回は両津が破壊した「高額なもの」を取り上げてみよう。
アメリカのインテルサット(通信衛星)推定被害額:10億円以上
CSのエロ番組を見るために友人の星野からパラボラアンテナを譲り受けた両津。映し出すことに成功すると、1時間300円で見せるというサービスを始める。
さらに両津は海外のエロ番組を映そうと企み、パラボラアンテナを大量に購入。寮の屋上に設置し、宇宙に飛んでいる通信衛星「インテルサット」から電波を受信する。海外のエロ番組をTVに映すことに成功した両津だが、衛星が楕円軌道衛星(動く衛星)であることから映りが悪かったため、中川宇宙センターに出向き、強引にアメリカのインテルサットを勝手に静止衛星にしてしまった。
「両津衛星放送会社」を作った両津は海外の番組をダビングしていく。結局台風で、パラボラアンテナは全滅。静止衛星にしたインテルサットは無理な力がかかり、大気圏に落ち、姿を消した。
両津が壊した大量のパラボラアンテナ。漫画では巨大なものから小さなものが20個程度設置されていた。現在大手販売サイトでは大きなものが30~50万程度、小さなものでも5万程度の値段がついており、少なくとも200万は破損をしたことになる。
インテルサットなどの通信衛星については正確な購入金額は不明。衛星に加えて打ち上げる手間も発生することから、10億以上の値段はかかるものと見られる。
浅草寺 五重塔 推定被害額:10億円以上
部長とパトロールをしていた両津は自殺を図る男に遭遇。「女房に逃げられた」と話す男に部長は優しい言葉をかけ、男は自殺をやめようとする。ところが両津はネガティブな言葉をかけ続けた。
男は両津から「死ね」と繰り返し叫ばれたことで逆上。車で通りがかった男性を包丁で落とすと、車に乗り込み石油ガスタンクに突っ込もうとする。慌てた両津は中川のヘリコプターで追跡。渋滞する車の上を走っていた男が乗り込む車にヘリコプターをぶつけて、隅田川に落とした。
脅迫された男性は命に別状はなく、男も川の中で「まだ死にたくない」と叫ぶ。男の命と街の平和を救った両津だが、「ざまあみろ」と絶叫したことで前方不注意となり、浅草寺の五重塔に突っ込み、壊してしまった。
壊れてしまった五重塔の修繕費はいくらなのか。2017年に屋根瓦を吹き替えた際の総工費は約6億円だった。漫画では五重塔がすべて横倒しになっており、これをもとに戻したうえでヘリが突っ込んだ場所を修繕するとなると、10億以上の費用が発生する可能性が高い。ちなみに両津はこの2年前にも五重塔を壊した。一体どうやって修繕したのか、謎である。
勝鬨橋 推定被害額:418億円
中川が所有する豪華客船で食事を楽しんだ両津は、本田速人とともに操縦室に潜入。自動操縦になっているため暇そうだった船員を追い出すと、「隅田川で川下りをする」と言い出し、本田までも外に出してしまう。
両津は勝鬨橋に差し掛かると「開かぬならそのまま通ろう勝鬨橋」と言いながら、車が通っていた橋に突っ込んで破壊する。さらに永代橋も壊したうえ、水上警察隊の船やマスコミのヘリコプターも蹴散らした。結局船は河川敷に乗り上げ、両津は逮捕される。テレビのニュースでは「本人は警察官だと言っているが、警視庁は全く見知らぬ男で警官に憧れた中年の変質者と言っている」と伝えられた。
勝鬨橋は1940年に6月14日開通、総工費は当時の金額で418万円だった。両津は勝鬨橋と永代橋を真っ二つに割っている。勝鬨橋だけでも当時のCPI(消費者物価指数)から換算をするなら、現在1000倍ほどになっているはずなので、修繕費はとてつもない金額になるものと見られる。その前に勝鬨橋と永代橋を破壊したとなると器物損壊罪で実刑判決が出る可能性が高いのだが。
今回取り上げたもの以外にも数多くの物を壊してきた両津。「物を壊す」ことは法律で禁じられており、好ましいことではない。しかしその破天荒な振る舞いは、漫画ならでは。作品最大の魅力といえよう。