『東京リベンジャーズ』“泣き虫のヒーロー”は読者も救った? 主人公・花垣武道の魅力をあらためて考察
“泣き虫のヒーロー”が救ったのは作品世界の人々だけではない
タケミチは人と人とを繋ぎ、やがて闇を照らす太陽のような存在になる。大切な仲間のために“泣き虫のヒーロー”は奮闘するが、助けたのは身内だけではなく、知らず知らずのうちに読者をも救っている。彼の行動力や頑張りに心を打たれて、勇気づけられたファンが多いからだ。
序盤の27歳というリアルな姿を見てると、スタート地点からの飛躍が素晴らしい。何度タイムリープを遂げても全てが順風満帆ではなく、向かい風も厳しいが、彼は「何事も簡単に諦めてはならないぞ!」と強いメッセージを我々に与えながら進み続ける。
時に読者は登場キャラクターの言動に影響を受け、心が晴れやかになる日もあるだろう。タケミチはそんな人たちに救いの手を差し伸べ、最終的にヒーローとしてみんなに幸せをもたらす存在に。ダメフリーター時代には考えられぬ成長ぶりに、心を奪われずにはいられない。
負け続けるだけが人生ではないことを教えてくれる存在、それがタケミっち!
タケミチは決して器用ではないけれど、自分の足で動き続け、全力で人と真正面からぶつかっていく。大人が忘れがちな素直さ、そして真っすぐさを思い出させるアツい主人公だ。
人は負けたら負けっぱなしではないという、後ろ向きな考えを払拭するのがタケミチという男。実にヒーローにふさわしい存在と言える。
作品をすでに読破した人も、もう一度彼の勇姿を噛み締めながら読み返してみてはいかがだろうか。一つ一つの行動が味わい深く、大きな頑張りを見ると感慨深い気持ちでいっぱいになるはずだ。