なにわ男子・高橋恭平の半グレ役で注目! 『マイホームヒーロー』間島恭一の憎めない魅力

高橋恭平演じる半グレの憎めない魅力

 今年の春のテレビアニメ化に続き、実写ドラマの放送もはじまった『マイホームヒーロー』。凶暴な半グレ青年を思いがけず殺害してしまった、ごく平凡な男の顛末を描いた作品だ。

 そんな物語の主人公・鳥栖哲雄にとってもっとも厄介な敵が、ドラマ版でなにわ男子・高橋恭平が演じたことでも注目を集める間島恭一である。勘が鋭く頭もキレる彼は、“強敵”とはいえ哲雄とユニークな関わり方をする存在だ。本作における彼の役割とは何なのだろうか。

 ここでは、麻取延人の行方をめぐって哲雄と恭一の攻防戦が繰り広げられる「第一部」にフォーカスして“間島恭一像”を掘り下げてみたい。

 “愛する妻や娘を守るヒーローの物語”といえば聞こえはいいが(たしかにそれはそうなのだが)、先述しているようにこれはごく平凡な男の物語だ。哲雄はこれまで何の罪も犯さず、善良な市民として家族と平穏な日々を過ごしてきた。ところが、娘の零花の顔に殴打の痕を見つけたことによって彼の日常は一変。零花の恋人である延人を殺害し、妻・歌仙の力を借りながら隠蔽工作に打って出る。

 この鳥栖夫婦の動きにただひとり疑いの目を向けるのが恭一である。彼の組織内での仕事は、まず何よりも行方不明の延人を探し出すこと。そこで彼は、行方をくらます直前の延人と接触している可能性が極めて高い鳥栖夫婦が何かを隠していると踏み、仲間たちを従え実力行使にまで出るのだ。

 他者の言動から瞬時に違和感を察知する勘の鋭さを持ち、さらにはその違和感の正体を整理し、自分たちがどう動くべきかまで具体的に示すことのできる頭のキレる人物。それが恭一だ。

 こうした人物像を記しただけでも、恭一の大きな役割が見えてくる。彼と延人は同年代だ。が、恭一が組織を動かせるだけの力を持った有能な人間であるのに対し、延人は気性が荒く組織の和を乱すただの半グレ。恭一は自らの力で裏社会を生き延びてきたが、延人は組織の“上”の人間である父・麻取義辰の威光によって優遇されている。いずれも複雑な家庭環境で育っているが、立場が正反対なのだ。恭一を守る人間はいない。

 恭一が裏社会に身を置く理由は、家業である「まじま食堂」を母とふたりで再開させる資金を貯めるため。ヤクザの圧力によって廃業に追い込まれたことから、彼は“力こそがすべて”だと思っている。だから彼は哲雄に対し「俺たちの組織は強いから正しい」と歪んだ正義を振りかざす。恭一はこの“力”を得るため、いくつもの死線を越えてのし上がってきたのだ。自身を溺愛する親の力によって簡単に組織に加入し、のうのうと生きてきた延人とはわけが違う。

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