実写映画『OUT』公開目前 最強で最凶の男・丹沢淳司に人々が惹かれる理由を考察

『OUT』最強で最凶の男・丹沢淳司

 11月17日に実写版映画公開を控えるアウトロー漫画『OUT』。不良にフォーカスした漫画と言えば、直近では『東京卍リベンジャーズ』のイメージが強そうだが、本作は『東リベ』よりも連載歴が長く、根強い人気を誇る作品だ。

 『OUT』には息を飲むような強さとカリスマ性、そして残酷性を持つ“ホンモノ”の不良が数多く登場する。その中でもトップクラスの不良として存在感を誇るのが、斬人(きりひと)の7代目総長である丹沢敦司(たんざわ・あつし)だ。絶対に近寄ってはならないキャラクターNo.1とも言える人物だが彼を慕う者は多く、読者人気も非常に高い。

 なぜ人々は丹沢という男に惹かれるのだろうか。その秘密は不良らしからぬギャップと、漂う王者の風格が関係している。

誰よりも無邪気?不良集団の総長とは思えぬ愛らしさ

 小柄で長髪、女性と勘違いするほどの華奢な体。特攻服を着ても見事にダボダボ!……とても喧嘩の腕が立つように見えないのが丹沢敦司である。

 普段はとても明るい性格で、誰とでも打ち解けるコミュ力の高さがある。常にくわえている棒付きキャンディーが無邪気さをより一層掻き立てており、見る限りではピアスも空いておらず、刺青も入っていない。不良集団のドンとはかなりかけ離れたイメージの人物だ。ついついガードが緩んでしまうほど、彼が持つ人懐っこさは実に愛らしい。

 「え?この人が総長なの?」とギャップにやられた読者も多いに違いない。表と裏の顔を完璧に使い分け、能ある鷹は爪を隠すという言葉がこれほど相応しい人間はいないだろう。

内と外を分ける冷酷さがまさに“OUT”な総長

 いくら可愛らしいキャラクターでも、あくまでそれは表面だけのこと。中身は立派な暴走族の総長であり、誰もが恐れる落ち着きと残酷な一面を持つ。王が揺らげばチームが揺れる、そのことを熟知しているせいか常に冷静だ。

 頭に血がのぼるような出来事が起きても、決して感情に流されることはない。抗争中もあまり表情は変えず、ギリギリまでひょうきんさを忘れないのがまた怖いところ。絶対に心の内を明かさない徹底ぶりは、並大抵の人間がなせる技ではないのだ。ルールを貫く姿勢に共感する者も多く、「内輪揉めはしない」「仲間に手を出す人間は許さない」といった情の深さも併せ持つ。

 とは言え仲間と外野を分かりやすく線引きし、例え友人でも井口達也に対しては「外の人間」と割り切るクールな一面も。実際にはっきりと“部外者”と口にする場面さえあり、完璧なほどの「内」と「外」の区別にはこちらも恐怖を覚えてしまう。明るくひょうきんな普段の丹沢からは想像がつかない冷たさが、禍々しさをより増長させる要素と言えよう。

 しかし人間的な怖さはあれど、丹沢敦司を支持する者が多いのも事実。信念を貫き、強い意志でチームをけん引するパワーが相当なものだからだ。今まで数々の不良に出会ってきた達也が「最強」と認めるほどである。

 かつての仲間である5代目斬人・皆川状介も周囲から恐れられつつも、愛されていた。2人は根本的な部分が酷似しているからこそ、丹沢が“ホンモノ”としてトップへ上り詰めたのはごく自然なことなのかもしれない。状介よりもさらに立ち回りがうまく、カリスマ性だけで問うなら右に出る者はいないだろう。

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