『地獄先生ぬ~べ~』はなぜ子どもたちを魅了した? ズバ抜けていた恐怖とコメディの“バランス感覚”
時代に合わせてビジュアルをリニューアルしながら長く愛されてきた『ゲゲゲの鬼太郎』や、妖怪をポップに捉え直した『妖怪ウォッチ』など、いつの時代も妖怪にまつわるコンテンツは子どもたちから一定の人気がある。やはり子どもにとって妖怪やホラーは知的好奇心を刺激する重要な存在なのだろう。こうした伝承をベースにした作品は子どもたちが何に対して恐怖心を抱くのかを知る経験や、助け合う心や立ち向かう勇気、「よくないこと」を見分ける力など一定の倫理観を身につけるのにも一役買っている。これは、おばけや魔女を教訓の題材とする絵本『ねないこだれだ』や『おしいれのぼうけん』が長く愛されてきたことからもわかる。
スマートフォンの普及や科学の進歩で時に“解明”されてしまうこともあるオカルト現象。だがこうした不気味な魅力が幼い心にインスピレーションを与え、新たな創造をうむこともあるだろう。この機会に『地獄先生ぬ~べ~』を再読し、時代と共に現れる「新たな恐怖」と共に、長く愛されてきたお化けや妖怪のような古典的ホラーの魅力も思い出したいところだ。