いちばん簡単でうまいカルボナーラはどれ? 料理研究家たちの最新レシピ三種を食べ比べ

誰もがせわしない毎日を送る現代社会。三度ならず一度の食事を作ることすら億劫になり、大人のイヤイヤ期にフタをするように外食に走る方も多いのではないだろうか。その「料理に対するそこはかとなくめんどくさい気持ち」を一掃し、自炊の楽しさを味わわせてくれる簡単レシピ本3冊を紹介しよう。
『虚無レシピ』(サンクチュアリ出版)、『とびきり美味しい疲れ果てごはん』(KADOKAWA)、『ビストロ・アルモンデ!』(学研ムック)は、どれも遊び心を感じさせるキャッチーなタイトルが印象的で、心や体が低空飛行中でも最高に美味しく作れる巧妙なレシピを提案する。本稿では、3冊に共通して収録されているカルボナーラを作り、各書籍を食べ比べてみることにした。本選びの参考になれば幸いだ。
まさかの具無し! 絶望を希望に変えるリュウジの「虚無ボナーラ」

カルボナーラを極限アレンジした「虚無ボナーラ」は、フライパンに"ちょっぴり"の湯で麺を茹で、具と呼べるものがピザ用チーズと黒胡椒、という掟破りの異端パスタだ。カルボナーラに必須のパンツェッタやベーコンなどの加工肉を使わず、粉チーズもパルミジャーノ・レッジャーノも加えない前代未聞っぷりだが、いざ作るとたっぷりの溶けるチーズが卵が固まる隙を与えず、トロトロソースが絡む極上のパスタが難なく完成する。世にも意識が低すぎるのに至高としかいえないカルボナーラを生んだ奇跡の一冊は、絶望的に忙しくてもどうにか自炊したい全ての頑張り屋さんの救いの神となるだろう。

超クタクタな日はレンチン一択! ズボラナーラな「カルボナーラ」で超絶楽うまごはん

山本版「カルボナーラ」は、レンジにほぼおまかせで完成する。まずは耐熱容器めがけてパキパキ!とスパゲッティを半分に折り入れ(このプロセスだけでストレスが解消される)、調味料と具と水を加える。レンジ加熱が終了したら、卵とチーズを流し込んでグルグルと混ぜるのみ。加熱中に溶け出したでんぷんがオリーブオイルとの乳化を促し、見事なまでにソースはツヤトロ、パスタはプリプリ。塩気と卵のコクが効いた眠くないカルボナーラができあがる。皿を洗いたくない日は、耐熱容器のままアツアツを食べるのもいいだろう。他のレシピもほぼ3ステップで、サクサク作れてモチベーションがダダ上がりする本書。やる気ゼロの日の救世主になること間違いなしの、老若男女問わず大推薦できる一冊だ。
