『ハウルの動く城』ソフィー、実は魔法使い? ありえない奇跡のシーンを振り返る
2004年に公開された宮崎駿監督のアニメ映画『ハウルの動く城』は、その美しいアニメーション、魅力的なキャラクター、奥深いストーリーによって世界中のファンに愛されている。実は同作には、原作小説のみで示唆されている要素が存在するのをご存知だろうか。それが「主人公のソフィーは魔法を使う能力を秘めている」という設定だ。そこで今回は、劇中でソフィーが魔法を使っていると思われるシーンを紹介しよう。
原作でソフィーは「言葉で命を吹き込む魔法」が使えるとされている
原作小説『魔法使いハウルと火の悪魔』は、イギリスの児童文学作家ダイアナ・ウィン・ジョーンズによって執筆された作品。この小説ではソフィーに魔法の才能があることがはっきりと記されており、ソフィーは無自覚に「言葉で命を吹き込む魔法」を操ることができるとされている。映画『ハウルの動く城』ではこの点に直接触れていないものの、ソフィーが魔法を行使している可能性は非常に高いと言えるだろう。
特に印象深いのは、ソフィーがカルシファーの生き返りを促すシーンである。カルシファーはハウルの心臓をもらう代わりに、城に留まりハウルに強大な魔力を供給する契約を結んでいた。しかし契約には弊害が……。カルシファーは城に縛られ不自由な一生を過ごすことになり、ハウルもいずれ怪物の姿に変わり果て人間では無くなってしまうのだ。契約を解除したいと願う一方で、ハウルが心臓を取り戻せばカルシファーは死んでしまう宿命であった。
そんなカルシファーとハウルの契約の秘密を知ったソフィーは、「どうか、カルシファーが千年も生き、ハウルが心を取り戻しますように」と祈りながらハウルに心臓を戻す。その結果ハウルとカルシファーの契約が解け、奇跡的にも彼らは生き延びることができたのだ。この出来事からソフィーは言霊の魔法を無自覚にも行使しており、ハウルとカルシファーに新たな命を授けたのではないかと考えられる。
またソフィーが飛行機を蹴り上げるシーンも非常に印象的な場面だ。小さな飛行機がハウルの城に突入してしまい、ソフィーたちは必死になって取り除こうとする。ロープを使って引っ張るものの、飛行機は動く気配がない。しかしソフィーが「動きなさい!」と叫びながら蹴り上げると、奇跡的にもエンジンがかかり飛行機は外に飛び出したのだ。
ソフィーが飛行機を蹴った衝撃だけではこれほどの劇的な変化を説明するのは難しく、まるで新たな命が吹き込まれたように見える。彼女の言葉や意志が物理的な力をも超え、不可能を可能に変えたのではないだろうか。