『VIVANT』マニアは必読! 小説版で”伏線”と”考察”の解像度が爆上がり

『VIVANT』小説版を読む

 壮大なスケールと予想を裏切る展開で毎回、大きな話題となるドラマ『VIVANT』(TBS系)。本作は『半沢直樹』シリーズ(TBS)などで演出を務めた福澤克雄が原作を手掛けるオリジナルドラマだが、この度、そのシナリオを元にしたノベライズ本・日曜劇場『VIVANT』が発売された。ドラマとは違ったこのノベライズ本の魅力に迫っていきたい。

ストーリーに集中できる構成

 計算された伏線と考察しがいのある謎の多さが魅力のドラマだが、いかんせん、登場人物や各話に詰め込まれた情報量が多い。そのため、リアルタイム視聴ではストーリーをだいたい理解し、その後、何度か見直している視聴者もいるのではないだろうか。もしかしたら、すんなり理解できないことが原因で最初の数話で脱落してしまった人も多いかも知れない。そのような人ほど、ぜひ本作を手に取ってもらいたい。

 ドラマ『VIVANT』の第1話のラストシーンでは、不意に馬と草原、そしてふたりの男が映し出された。ふたりは爆発事件にアディエル(Tsaschikher Khatanzorig)とジャミーン(Nandin-Erdene Khongorzul)が巻き込まれたことについて話していたが、突然の新しい人物の登場に「この人は誰だ?」「乃木(堺雅人)たちとどんな関係があるんだ?」とつい、考えてしまったことだろう。

 この場面を小説にするならば、「ある男たちが爆発事件について話している」というようにふたりの正体を明かさないように書いても良いと思うのだが、本作では、この男たちの正体がノコル(二宮和也)とノゴーン・ベキ(役所広司)であることが記されている。本作はドラマが謎解きミステリのように描かれているのではなく、登場人物と事実がしっかりと明記される形でまとめられている。もちろん、乃木の別人格・Fの名もすぐに出てくる。つまり、「これは何?」「誰のこと?」というのが少ない分、内容に集中できるようになっているのだ。

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