【ライトノベル最新動向】アニメ化決定「ユア・フォルマ」新刊や「魔法科」「ダンまち」スピンオフなど登場 8月のライトノベル注目作

8月のライトノベル注目作

 ライトノベルのシリーズが、人気や知名度をもう一段はね上げるタイミングがあるとしたらアニメ化だ。顎木あくみ『わたしの幸せな結婚』の全巻が書店に平積みされている様子を見れば、アニメ化がもたらす効果の程も分かるだろう。8月10日に電撃文庫から発売の菊石まれほ『ユア・フォルマVI 電索官エチカと破滅の盟約』への反応も、アニメ化の発表を受けて集めた注目が、どこまで届いているかを測る参考になりそうだ。

 第27回電撃小説大賞で《大賞》を受賞した『ユア・フォルマ 電索官エチカと機械仕掛けの相棒』から始まるシリーズは、人間の脳に張りめぐらされた特殊な"糸"によって人間がネットワークと接続され、記憶もしっかりと記録されるようになる近未来が舞台。そうした記憶にダイブして事件の真相を探る電索官の少女と、人間そっくりに作られたロボット〈アミクス〉のハロルドがバディとなって犯罪捜査に挑む。

 人間が直接ネットワークと繋がれる世界とはどのようなものか。〈アミクス〉と人間の違いとは何か。そんなSF的ビジョンの中で発生する、〈アミクス〉に課せられた制約をかいくぐって起こる事件の真相を推理していくミステリーとしての楽しさがある。アニメになれば超イケメンだがどこかに謎を秘めたハロルドに惹かれる人も大勢出そう。シリーズ第6弾となる最新刊ではそんなハロルドの姿と、正義感から突っ走るエチカの変わらぬ活躍を目にできるだろう。

 電撃文庫からは、佐島勤による『魔法科高校の劣等生』シリーズスピンオフとも言える『魔法科高校の劣等生 夜の帳に闇は閃く』が登場。主人公の司波達也と深雪をサポートしてきた黒羽家の亜夜子と文弥という双子の姉弟が、魔法大学に進学してより密接に達也を守る行動に出る。裏の存在だけあって荒事にも通じた2人が見せるスリリングな活躍に期待がふくらむ。

 スピンオフでは、MF文庫Jから刊行中の二語十『探偵はもう、死んでいる』シリーズのヒロイン、夏凪渚を主人公にした『夏凪渚はまだ、女子高生でいたい。1 探偵はもう、死んでいる。Ordinary Case』が8月25日に刊行。君塚君彦と巡り会う前の渚が、ドナーを得て心臓の移植手術を受けた後、提供者のことが気になって調べる中で君彦に近づいていくといった一種の"前日譚"が紡がれる。

 これも大森藤ノ『ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか』シリーズのスピンオフと言えるかもしれない、『アルゴノゥト後章 英雄運命 ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか 英雄譚』が、GA文庫から8月31日に登場。本編の主人公で、冒険者として活躍しているベル・クラネルが愛読し、信奉する英雄アルゴノゥトの伝説を描いたシリーズの後編。思いの外ポンコツだった英雄はどうして憧れられる存在になったのかを確かめよう。前後編がひとつになったハードカバーの『アルゴノゥト豪華特装版』も同時発売。

 新シリーズも続々と登場。GA文庫から8月10日発売の志馬なにがし『透明な夜に駆ける君と、目に見えない恋をした。』は第15回GA文庫大賞《大賞》受賞作品。内気な大学生の空野かけるのところに現れた女性は目が見えなかったが、何事にも前向きで、打ち上げ花火もしてみたいと言い出した。そんな女性に刺激され、何事にも諦め気味だったかけるは変わっていく。乗り越える勇気をもらえそうなラブストーリーだ。

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