【ライトノベル最新動向】遂に結婚！　『わたしの幸せな結婚』最新刊が堂々の10周連続1位、シリーズ全巻ランクイン

　圧倒的な強さだ。7月14日に発売となった顎木あくみ『わたしの幸せな結婚 七』（富士見L文庫）が、Rakutenブックスの週間ライトノベルランキング（7月10日～16日）で10週連続の1位を達成。それだけでなく、第6巻が6位、第5巻が10位、第2巻が13位、第3巻が19位、第1巻が20位、第4巻が22位と、刊行されている7巻までのすべてが30位以内にランクインする快挙を見せた。

　第6巻からまるまる1年を開けての新刊ということで、ずっと待っていたファンが大勢いたことが、発売前からの高い支持に表れていることは確かだろう。甘水直という超絶的な異能者を相手にした戦いに幕が下り、斎森美世が久堂清霞とタイトルどおりの"しあわせな結婚"にたどりつく。そんなエピソードがメインの最新刊に期待するなという方がそもそも無理だ。

　ところが、発売された最新刊では、のっけから本当に美世と清霞は無事に祝言をあげられるのかといった不穏な空気が漂って、読んでいる人をドキドキとさせる。お互いにずっと溜め込んでいた思いを、夫婦になるということで改めて確認しあう中で、ズレが生まれてて仕舞うのではないかといった不安も浮かんでくる。

　けれども、数々の妨害を乗り越えて信頼を深めてきた2人だ。今まさに放送中のTVアニメ版『わたしの幸せな結婚』が、そうした2人のたどった道を最高の映像と最適なキャストによって見せてくれている。原作ファンはアニメを見てこんなこともあったねと懐かしみながら、これだけ苦労した2人は結ばれないはずはないという気持ちで最新刊のページを繰ろう。予想を超える感動に包まれるはずだから。

　ランキング2位は、映画『青春ブタ野郎はおでかけシスターの夢を見ない』が公開中の鴨志田一「青ブタシリーズ」の最新刊となる『青春ブタ野郎はサンタクロースの夢を見ない』（電撃文庫）。ネットで人気のシンガー「霧島透子」の正体が、主人公の梓川咲太が通う大学の学生で、そして咲太にしか姿が見えない女性らしいという状況に、重大な変化がもたらせる。

「霧島透子」は自分だと、咲太の恋人で国民的な女優の桜島麻衣が告げる夢を大勢が同時に見たこと。一部の人は、麻衣が事故で意識不明の状態に陥る夢を見たこと。そんな奇妙な出来事が相次ぐ中で、咲太は麻衣の事故だけは防ぎたいと動き始め、その鍵となっている「霧島透子」の正体に迫っていく。いろいろなことが見えてきて、それ以上に分からないことも増えていく最新刊。続きが気になる。

　3位は白鳥士郎『りゅうおうのおしごと!18』（GA文庫）。若くして将棋の二冠となった九頭竜八一が、子供時代からのライバルとタイトル戦を戦うエピソードに、八一の弟子たちで、幼い少女ながらも驚異的な強さを持った雛鶴あいと夜叉神天衣が激突するエピソードが重なって進む。そこに絡むのが流行りのAIで、人間を凌駕する思考速度を持ったマシンが導き出した必勝の手に、それでも人間が将棋を続ける意味を証明するためにぶつかるという、壮絶な戦いが繰り広げられる。

　別に、登場人物がある小説を読んで、『あーあ私も実の家族に虐げられて評判の悪い名家の跡継ぎとかに売られたけれどその結婚相手が実はいい人で自分を虐げられてきた家族に羨ましがられて「ザマァw」みたいなことが起こらないかなー』と言い、『こんな展開ありえないわー』とボヤくという、とあるベストセラーへの恐れ知らずの言及も。だったら自分で書けばというツッコまれたことが、伏線として今後の展開に関わってくるか。見定めたい。

　4位は、9月15日刊行予定の大森藤ノ『ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか19　ドラマCD付き特装版』（GA文庫）。フレイヤ・ファミリアとのウォーゲームを乗り越えたベル・クラネルが次に遭遇する事件が描かれそう。『ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか外伝　ソード・オラトリア13』（GA文庫）にチラリと描かれたあの話か?　

 「ダンまち」シリーズからは、『アルゴノゥト前章　道化行進　ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか　英雄譚』（GA文庫）も9位にランクイン。ベルが愛読し、憧れ続ける英雄アルゴノゥトの活躍が描かれた壮大な冒険ファンタジー。そう思っていたらアルゴノゥトは妹でハーフエルフのフィーナに攻撃のすべてを任せ、自身は逃げ回るだけの軟弱者で道化者。女性とみれば口説かずにはいられない性格も含めて、見た目はそっくりなベルとはまるでタイプが違っていた。そんな彼がどうして英雄譚に名を残したのか。先が気になるシリーズだ。