「諦めたらそこで試合終了だよ」だけじゃない 『SLAM DUNK』名将たちの心に響く名言集
「バスケットは好きか?」
北野監督/豊玉高校バスケットボール部前監督/第24巻
「金平監督の思いをまさに受けるような言葉が北野前監督の言葉です。北野監督は安西先生と昔馴染みの存在でもあります。北野監督がよく言ってたのがこの言葉ですね。ファールスレスレのラフプレーをする選手になってしまった豊玉の南烈が、原点であるこの言葉を思い出して、終盤の数分間、ラフプレーを止めて頑張る展開になる。豊玉の選手たちを蘇らせた言葉でもありますが、『SLAM DUNK』全体を通してのテーマでもあると思います。三井の『バスケがしたいです』も桜木の『(バスケットが)大好きです』というのも、“バスケが好きか/好きだ”というのが、『SLAM DUNK』が描きたかったことなんだと思います。北野監督のこの言葉は、井上先生からの自分が作ったキャラクターや読者たちに向けた“バスケは好きですか?”という問いかけでもあるのかなという気がしますね」
※ネタバレ注意
「はいあがろう 『負けたことがある』というのが いつか 大きな財産になる」
堂本監督/山王工業高校バスケットボール部監督/第31巻
「インターハイで無名である湘北に山王工業高校の選手たちは初めて敗北します。その彼らに向けた堂本監督の言葉ですが、ある意味では、安西先生の言う『諦めたら試合終了』と対をなしている言葉とも受け取れます。負けたらそこで終わるけど、試合が終わった後も君たちの成長は終わらない。試合が終わった後の心構えが描かれていました」
島田氏は『SLAM DUNK』が支持を集める所以は主人公を導く“師匠”の描き方にあると続ける。
「メンターの役割のキャラクターって成長しないのが本来なんですけど、選手たちだけではなくて、彼らの師匠である導き手である監督たちも一緒に試合で成長してるのが『SLAM DUNK』の凄みの一つです。安西先生でさえ、過去にうまく育てられなかった1人の選手がいましたが、流川楓と桜木が活躍してるのを見て、奮起する姿を描いていた。どっしりと構えてるだけじゃなくて、名将と言われてる人たちの姿さえも、若い選手たちに刺激を受けて前に進んでいく様子が描かれているのがいいと思います」
これからの人生の歩みのヒントになるかもしれない師匠たちの言葉を改めて、原作を手に取って学んでみるのも良いかもしれない。