「マーガレット」創刊60周年  日本の少女まんがを牽引してきた雑誌はなぜこれほど愛される?

少女漫画誌「マーガレット」創刊60周年

 集英社が発行する少女まんが雑誌「マーガレット」と「別冊マーガレット」は、今年2023年に創刊60周年を迎える。1963年4月に集英社初の週刊少女まんが誌として「マーガレット」が、その後12月に「別冊マーガレット」が誕生。以来、時代を生きる少女たちの心情に常に寄り添い、魅力的なキャラクターや物語を生み出し続けてきた両誌の歩みは、少女まんが史そのものだ。なぜこれほどまでにマーガレットは時代を超えて愛されるのだろうか。

 両誌はこのアニバーサリーイヤーに歴史を改めて振り返り、これから先も優れた作品を届け、新たな挑戦を続けていく決意を固くしているという。その第1弾として、創刊60周年記念号が発売された「マーガレット」。歴代の代表作品や、ひろちひろ氏の新連載『きみとバラ色の日々』の開始など、記念号にふさわしいスペシャルコンテンツのご紹介を中心にお届けする。

 「マーガレット」、「別冊マーガレット」が誕生した昭和30年代は、東京オリンピックの開催や海外旅行の解禁によって日本人の視野が開け、国際感覚が養われた時代。また、番組が週単位で編成されるテレビの普及で、生活が週単位化し、雑誌もまた週刊誌化を要望されていた。「マーガレット」は時代のニーズを捉え、カラー口絵、グラビア、2 色ページ、活版ページに写真小説、ファッション、料理、そしてまんがと、少女向け“総合週刊誌”として1963年4月に誕生した。 その後、少女コミック誌としての地位を確立。さらに1988年にはリニューアルし、月2回刊に。現在に至るまで、中高生を中心とした敏感世代に向けて、愛と夢をテーマにした作品を届け続けている。

■「マーガレット」の歴代の代表作品
 読者のあこがれや共感を呼ぶヒロインたちとともに少女まんが界の最前列を60年間走り続けてきた同誌の、昭和から現在に至るまでの代表作品を、各作品が飾った歴代号のカバー画像と共にご紹介する。

・『アタック No.1』 <浦野千賀子(うらのちかこ)・著>
 「週刊マーガレット」1968年1号~1970年50号で連載。ヒロイン鮎原(あゆはら)こずえがバレーボール部のキャプテンとなって部を全国優勝に導く姿、高校でのインターハイ、世界選手権に出場する様を描き、少女まんが誌の「スポーツまんが」ブームを牽引。ライバル早川みどりとのキャプテン争いや、ボーイフレンドの死などの数々の苦難が描かれ、魔球を繰り広げる“スポ根もの”の代表作。アニメ化され、バレーボールの大流行の火付け役にもなった。

・『ベルサイユのばら』<池田理代子(いけだりよこ)・著>
 「週刊マーガレット」1972年21号~1973年52号で連載。18世紀のフランス革命を舞台に、フランス王妃マリー・アントワネットとフランス国王軍の近衛隊の将校で男装の麗人オスカルらの人生を描く、史実を基にした歴史ロマン作品。登場人物たちが運命に翻弄されながらも自分の意志や愛を貫く姿が熱烈に支持され、アニメや映画化の他、宝塚歌劇団によって舞台化もされ、社会現象となった。「マーガレット」2014年13号~2018年5号に掲載された40年ぶりの続編『エピソード編』も話題に。

・『エースをねらえ!』<山本鈴美香(やまもとすみか)・著>
 「週刊マーガレット」1973年2・3合併号~1980年8号で連載。ヒロイン岡(おか)ひろみが新任コーチ宗方(むなかた)に見出され、厳しい特訓に耐えながら才能を開花されていく物語。リアルなテニスシーンを描きながら、青春の葛藤や苦悩をとらえた同作は、スポ根の精神性を表現して多くの読者の共感を呼んだ。ライバル「お蝶夫人」こと竜崎麗香(りゅうざきれいか)との対決は有名。アニメやOVAに加え、2005年に実写ドラマ化されるなど、時代を超えて多くの映像化を果たした。

・『花より男子』<神尾葉子(かみおようこ)・著>
 「マーガレット」1992年8号~2003年18号で連載。コミックスの日本国内の累計発行部数は6100万部(2023年4月現在・電子版を含む)を突破。庶民の牧野(まきの)つくしが、超お金持ちが集う名門校・英徳学園を牛耳るF4のリーダー・道明寺司(どうみょうじつかさ)とぶつかり合いながら、学園生活を送る青春ラブストーリー。持ち前の明るさと雑草魂で困難に自ら立ち向かうヒロイン像が読者の心をつかみ、テレビアニメ・映画・テレビドラマ・舞台と様々なメディアに展開された。

・『メイちゃんの執事』『メイちゃんの執事 DX』 <宮城理子(みやぎりこ)・著>
 『メイちゃんの執事』は「マーガレット」2006年11号~2013年3・4合併号で連載。両親を交通事故で亡くした少女メイの前に執事柴田理人(しばたりひと)が現れ、様々な苦難を乗り越えながら「世界一のお嬢様」を目指す物語。執事とお嬢様のもどかしい禁断の恋模様や個性的なキャラクターの登場で好評を博した。「マーガレット」2014年9号からは、続編『メイちゃんの執事 DX』が連載開始。2023年13号で完結する。

・『日々蝶々』<森下suu(もりしたすう)・著>
 「マーガレット」2011年24号に読切作品として掲載された後、2012年6号~2015年13号で連載。誰もが振り向く美少女であり、周囲から“高嶺の花”にちなみ「高嶺ちゃん」と呼ばれるヒロイン・柴石(しばぜき)すいれんと硬派な空手部男子・川澄(かわすみ)のピュアな恋愛を描いた物語。同作は2人組ユニット・森下suuの初連載作品でありながらも、恋に奥手で無口、美少女であることにも無自覚という新鮮なヒロイン設定でたちまち話題となり、幅広い層から支持を集めた。

・『椿町ロンリープラネット』<やまもり三香(やまもりみか)・著>
 「マーガレット」2015年12号~2019年8号で連載。父の借金を返済するため、不愛想な時代小説家の木曳野暁(きびきのあかつき)のもとで住み込み家政婦となった女子高校生・大野(おおの)ふみ。二人の歳の差恋愛を描いたラブストーリー。完結後は、「マーガレット」2019年12号~18号で『椿町ロンリープラネット エピソード編 ~couples~』として番外編4編が隔月連載され、主人公の周囲のキャラクターの恋愛模様が描かれた。

・『ピンクとハバネロ』<里中実華(さとなかみか)・著>
 「マーガレット」2021年21号から現在連載中。恋愛経験もコミュ力も皆無な高校生の宮尾麦(みやおむぎ)が、ある日学年一のイケメン、黒瀬彗(くろせけい)が騎士カフェでアルバイトをしていることを知り、不愛想な彼と秘密を共有したことで始まる、ギャップ萌えの学園ラブコメディー。現在の同誌の看板作品。

■創刊60周年記念号「マーガレット」12号について
1:ひろちひろ氏による新連載『きみとバラ色の日々』がスタート

 2018年24号~2023年1号の「マーガレット」で連載された、累計発行部数180万部(紙・電子版含む)のヒット作『ふたりで恋をする理由』(MC全12巻)の著者、ひろちひろ氏による最新作が開始。ひろ氏の美麗な絵で描かれるキャラクターは、女の子はかわいく、男の子はかっこよく、とにかく魅力的! 今作は、ピュアで真面目な女の子と、ミステリアスな雰囲気のある大人っぽい男の子との、超王道ラブストーリー。甘いだけじゃない、ちょっぴり刺激的な『きみとバラ色の日々』に、ぜひご期待ください。

■あらすじ
 まわりからは「真面目」と言われがちな、望月(もちづき)のばら。恋に憧れはあるけど、初恋もまだの普通の高校2年生。新学期、先生から休んでいた生徒の補習を手伝うように頼まれる。だけどその生徒は、数々の悪い噂が絶えない学年の有名人・瀬戸原(せとはら)で…?

■ひろちひろ氏コメント
<「マーガレット」創刊60周年記念号から連載を始めさせて頂くということで、とても緊張しながらも、光栄な思いでいっぱいです。マーガレットの長い歴史の中で、たくさんの少女まんが作品が読者の人生に寄り添ってきたことと思います。私の作品も、読んでくださった方の毎日が少しでも明るく楽しいものになればと願って、日々の創作を続けています。新連載『きみとバラ色の日々』も、たくさんの方に楽しんで頂けると幸いです。>

 新連載開始を記念し、ひろちひろ氏の『ふたりで恋をする理由』と『きみとバラ色の日々』のスペシャルイラストカード8枚セットを応募者全員にプレゼントされるという。マーガレットファンはもちろん、少女漫画好きの全てが注目するべき内容だ。

 

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