『機動戦士ガンダム 水星の魔女』に感じる“喉越しの良さ” 第16話「罪過の輪」のスピード感を振り返る

 さらに、帰ってきて即ラウダが気絶してしまったのもうまい。ラウダが倒れなければ「ジェターク社は現状どうなっているのか」「この先どうするか」といった会話も発生しただろうが、残念ながらそういう展開にもならなかった。何もなしでラウダが気絶してしまえば「唐突では?」という気持ちにもなっただろうが、兄の不在やジェターク社の窮地、さらにベネリットグループ各社からの吊し上げと、ラウダもまた学生の立場で味わうにはキツすぎる境遇にいたことがすでに描写されている。「そりゃ倒れるよ……」という状況をあらかじめ用意した上で、満を持しての失神だったわけである。

 この速攻帰宅とラウダの失神によって、我々視聴者にはグエルが今何を考えているのか皆目わからなくなり、次週以降の放送を楽しみに待つしかなくなってしまった。まさに詰将棋のようなストーリーの組み立てで、感心するしかない。次回はどんなポイントで「スキがない~」とため息をつかせてくれるのか、楽しみである。

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