最強の男はコンビニ店員!? 不条理な強さ描く異色の格闘漫画『TSUYOSHI 誰も勝てない、アイツには』

なぜか最強の男『TSUYOSHI』が面白い

腕っぷしの強さだけでは社会を生き抜けない

 最初は格闘ものだったはずの本作だが、国が強の管理に乗り出し始めると徐々に流れが変わり始める。強は一人の人間ではなく、“能力”や“道具”とみなされ、彼の預かり知らぬ場所で話し合いが持たれてしまうのだ。

 腕っぷしの強さとは一体なんなのだろうか。誰ひとりとして力では叶わない相手でも、権力の前では刃が立たないのか。だとすれば、強くなりたくてあらゆるものを犠牲にしてきた者や、強くならざるを得なかった者たちの努力は無駄だったのだろうか。『TSUYOSHI 誰も勝てない、アイツには』は、ひとりの最強な男を中心に“強さ”の意味を問いかける。

 ここまで色々と書いたが、一言でまとめると「面白いから読んで欲しい」だ。格闘一辺倒の真面目は話ではなく、コメディ要素も多く、戦いの中で対戦者への理解や敬意が生まれ友情を育んでいく使い古された格闘漫画のあるある展開もある。格闘漫画のくくりにはなるが、王道から少しズレたポジションにあると言えるだろう。映画に例えるなら、マッチョアクション映画全盛期に、やる気のないヒーローを描いて大ヒットした『ダイハード』のような作品かもしれない。

 『TSUYOSHI 誰も勝てない、アイツには』はサイコミで絶賛連載中。3月31日までならKindle Unlimitedで1〜4巻が無料で読める。一度読み始めたら止まらないはずだ。

■作品情報
『TSUYOSHI 誰も勝てない、アイツには』
サイコミ:https://cycomi.com/title/96

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