秋田書店 解体工事現場でまさかの火災 ファンの間から心配の声

■秋田書店の火災、心配の声が上がる

  建て替え工事の真っただ中のあの出版社が、まさかの火災に――。3月27日の14時頃、東京・千代田区にある秋田書店のビルの解体工事現場で火事があった。男性作業員2人が病院に運ばれたが、命に別状はないとのことである。火は既に鎮火したものの、漫画ファンの間では今回の事態を不安がる声が上がっている。

  秋田書店は、4大少年漫画雑誌「週刊少年チャンピオン」の発行元として知られる。火災に遭ったビルは1973(昭和48)年の竣工。この年、「チャンピオン」では手塚治虫の『ブラック・ジャック』の連載が始まり、『ドカベン』『がきデカ』などのヒット作を連発し、少年誌ナンバーワンの発行部数を築くことになる。

  伝説の編集者・壁村耐三のもとで「チャンピオン」は200万部を突破した。そんな黄金時代に数々の名作が編集されていたビルであり、漫画の歴史を語る上でも重要な存在なのである。宮崎克と吉本浩二による実録漫画『ブラック・ジャック創作秘話〜手塚治虫の仕事場から〜』にもこのビルが多数登場し、当時の編集部の様子がよくわかる。

 そして、解体工事現場には、3月24日から現場の仮囲いを人気漫画『刃牙』シリーズの絵をあしらったユニークなパネルを設置し、話題になったばかりだった。範馬刃牙が父・勇次郎に挑む「史上最強の親子喧嘩」をテーマに、「史上最強の親子喧嘩により本社屋は倒壊いたしました」というコピーがSNSで話題になっていた。

■「秋田書店」がトレンド入り

  火災を受けて、一時は「秋田書店」「飯田橋の火事」がトレンド入り。原因は判明していないものの、『刃牙』のパネルは無事だった模様。ただ、今回の火災に関しては、SNS上でも「親子喧嘩が現実になってしまった」「激しく戦いすぎ」「親子喧嘩どころの話ではない」と投稿されているほか、「秋田書店大丈夫かな」「作業員さんの回復を祈っています」などの声も寄せられている。

 なお、秋田書店は1月6日より本社機能を文京区にある仮社屋に移転している。そのため、ビルのなかには本や原稿などの貴重な資料はなかったと思われるが、今後の続報を待ちたい。なお、新社屋は2027年9月に竣工する予定という。建て替えが予定通り進むことを祈念したいものである。

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