【漫画】イケメン幼馴染4人と私……10年後は誰と一緒にいる? 『どうせ、恋してしまうんだ。』が送る青春の輝きと切なさ
友人との他愛もない会話、甘酸っぱい恋の思い出……卒業式シーズンが到来すると、今でもあの頃の記憶を思い出す。今よりもずっと世界は狭かったけれど、それ以上に感情がたくさん動いていた青春時代。だからこそ、今でもこうして当時の記憶が頭をよぎる時は、とても輝いて映り、そのかけがえの無さに胸がぎゅっと締め付けられる。今回紹介する『どうせ、恋してしまうんだ。』(満井春香)はまさに、そんな青春時代に馳せる想いを体現したかのような作品だ。本稿では第一話を掲出するとともに、その魅力をお伝えしたい。
『どうせ、恋してしまうんだ。』第一話(画像クリックで続きを読む)
2020年夏、制限だらけの青春時代
物語の舞台は2020年の夏。私たちの世界と同じように、感染症の拡大によって学校行事はもちろん、部活のインターハイも中止を余儀なくされてしまう。そんな制限ばかりの青春時代を送る5人の高校生たちが主な登場人物だ。
特に、主人公の水帆はそのせいで憧れの先輩に近づく機会を失いすっかり意気消沈してしまう。“キラキラした青春”なんてないと嘆く水帆だったが、まるで家族のように一緒に過ごしてきた4人の幼馴染の存在によって物語は大きく動き出す。
幼馴染から突然の彼氏候補宣言!?
4人の幼馴染の中でも水帆にとっては末っ子のような存在だった輝月。ある日突然、彼から“彼氏候補宣言”をされたことで、今まで気づかなかった恋心や嫉妬、関係性が変わることで何かを失うのではという恐れ……水帆は経験したことのない感情を味わっていくことになる。
そして、恋愛漫画の醍醐味ともいうべきか、輝月の“彼氏候補宣言”によって、他の3人の幼馴染たちも水帆への恋愛感情を自覚し家族ではなく“彼氏”としてその距離を縮めていく。
青春時代特有の葛藤、もどかしさ
――まるで兄弟のように距離が近い、優しくてタイプ違いのイケメン幼馴染たち。何度夢に見たシチュエーションだろうか……。4人の中なら誰が好きか?とまるで推しを探す気持ちで読み進めるのも楽しい本作。けれど、やっぱり胸に響くのは、水帆と幼馴染たちから感じる青春時代特有の葛藤、もどかしさだ。
輝月は水帆が好き、だから彼氏になりたい。だけど、そんな輝月のストレートな愛を水帆は素直に受け取ることができない。なぜなら水帆と幼馴染たちの間には“家族”同然の絆があるから。だからこそ、水帆は誰か1人を選ぶなんて出来ないし、もし一歩踏み出してまったら、今までの関係性が壊れてしまうのではないかという恐れがある。そして、一方の男性陣も卑怯な手を使って誰かを出し抜くことなんて決してしない。そんな5人の固い絆と互いの優しさが邪魔をして、恋愛模様はより切なさを帯びていく。
きっと水帆と同じような青春時代を経験した人はそういないと思う。けれど、恋愛以外にも友人関係や部活動、そして進路を考えるとき、今が壊れてしまうことを恐れて一歩を踏み出すことができなかった……と、淡い後悔の念を抱いている方は多いのではないだろうか。青春時代には、夢や希望だらけの煌めくような一瞬だけではなく、切なさや後悔といった薄暗い瞬間が付きまとう。『どうせ、恋してしまうんだ。』はそんな全てをひっくるめて、青春時代の尊さ改めて教えてくれる。
水帆は誰と恋人に?現在と未来がリンクする
本作は、水帆たちが高校時代を過ごした2020年を軸に物語が進行するが、時折10年後の未来とリンクする。未来では、現実に打ちのめされながらもとある夢を追い続ける水帆、そして物語が進むごとに姿を現す大人になった幼馴染たち……。
10年後、水帆の隣にいるのは誰なのか?という未来はもちろん、2020年の“今”と一生懸命に向き合う5人の青春をぜひ見守ってみてほしい。