【漫画】V系アーティストは加齢とどう向き合う? SNS漫画『47歳、V系』に共感の声

――反響はいかがですか。

桂明日香(以下、桂):Twitterで広まってくれて、バンギャの方がたくさん見てくれた印象です。私よりも少し上の世代の方がV系にジャストだったと思うのですが、その層が読んでくれているような気もしました。

――制作にあたり考えたことは何でしたか。

桂:まずアイドルが老いを気にするようなギャグを思いついて。そしてふと「昔V系が一世を風靡したけど、V系のファンたちは今どうしてるのか」と思ったんです。大体みんな50歳くらいなので、この題材は共感できる方が多いのでは、と漫画にしてみました。

――ご自身の周辺にもそういう方がいらっしゃたり?

桂:周りにバンギャだった子が何人かいて、彼女たちはファッション的にも現代に順応している感じです。あとV系バンドのマネージャーをしている友達に話を聞いたりもしていました。年齢のことを気にしている人はやっぱりいるそうで、特に髪がきれいに伸びないとか薄毛で悩んだりするそうです。そのために育毛剤を使うとか。美しさを保つのも努力あってこそだと思います。

 『47歳、V系』は主人公の職業がV系というだけで、内容的には中年男性の日常系漫画です。「美と退廃の世界」は「老い」とは相性が悪いので、主人公がV系である事で「求める理想と現実の壁」という個人的な悩みをわかりやすく表現できました。

――バンギャが「推し」や「ヘイト」という比較的最近のワードを使っているところも時代の流れを感じさせました。

桂:アラフォー&アラフィフのバンギャも普通に今時の言葉遣いを使っているとは思います。ただ「推し」とは言わずに「麺」というそうで「本命麺」などと言ったりするみたいですね。漫画を描く時も新旧のワードを混ぜた方がいいなと考えたりもしていました。

――他にこだわった点は?

桂:私自身がV系バンド経験者なわけでもなく、文化を間借りしている立場なので、ジャンル関係者に失礼にならないよう意識しました。V系の代表のように見られる描き方はしない、あくまで主人公本人が老いたくないだけ、という。

「老い」に悩んでも、悩まなくてもいい。そしてうちの主人公は悩むタイプです、というスタンスは貫きました。私が描きたかったのは「個人的な悩みとしての老い」だったので。

――桂さん自身は「老い」についてどう感じています?

桂:私は老いはそこまで気にしないです。ただ軽々しくこう言うと、美容に励んでいる人と対立するような事がある。美しくいたい、と理想を追い求めるのは素晴らしい事だし、興味がない人が無理に美容を頑張る必要もない。自分の好きなことをして、それをお互いに尊重できればなと。

素直に何かを嫌いと言ったたけで、それを好きな人に「マウントを取られた」と思われてしまうのは、しんどいなという気持ちがあります(笑)。そういうことを難しく言うのは好きじゃないので、ギャグ漫画にして笑ってしまいたい気持ちがありますね。

――最後に今後の活動について教えてください。

桂:またちょうどいい題材があれば、ギャグ漫画を描きたいです。『47歳、V系』も描かせてくれる媒体があれば続きを描きますのでよろしくお願いします(笑)。

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